2019 Fiscal Year Research-status Report
An analysis of HIV replication competence related to epidemic and disease development
Project/Area Number |
19K10600
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
景山 誠二 鳥取大学, 医学部, 教授 (60252706)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | HIV / エイズ / 複製 / 増殖 / 抗HIV薬 / 薬剤耐性 / ウイルス増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【耐性ウイルスの表現型、増殖能の評価】血漿検体から、個体内優勢株の薬剤耐性状況を知り、次いで、血漿を材料に初代培養細胞培養によるウイルスの分離・培養を試み、1週間後の最大増殖量を算定し増殖レベルとする試みを終了した。その結果、耐性株の流行状況を9.2%と推定した。耐性株を含む31株の分離株を得、PHAで刺激した末梢血単核細胞に感染・7日培養する実験系により、5.1x10^6-3.3x10^9copies/mLの幅の増殖レベルの違いを確認した。さらに、この増殖レベルは、患者血漿中のウイルス量に比例していた。このように、流行株の増殖能には大きな違いがあることが分かった。血漿HIV量の決定因子のひとつがウイルスの増殖能であることが強く示唆された。(Seiji Kageyama et al. JIAPAC 2019, 18: 1-8) 【薬剤耐性ウイルスの増殖能の違いと治療薬の選択】リバウンドした症例から得られたウイルス株を、新規処方候補薬剤存在下で初代培養し、有効血中濃度(既知)と比較して、増殖制御可能な治療薬を評価・選択する試みについて、高増殖能株と低増殖能株の比較検討を行った。その結果、試した4種の薬剤(Lopinavir, Tenofovir, Efavizenz, Emtricitabine)の全てについて、低増殖能株の方が効果が高かった。検出感度以下まで増殖を制御できたのは、Efavirenz(10microM)のみであった。さらに再現性と細胞の個体差による違いを検討する。 【ウイルスの増殖能と細胞内増殖制御因子】高増殖能株と低増殖能株の代表株を用いて、感染初代培養細胞内のウイルス制御因子の発現レベルを検討している。APOBEC3, SAMHD1, Tetherinに注目して解析を続けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の解析項目、耐性ウイルスの表現型・増殖能の評価については、すでに論文化を終了し、一定の結果を得た。第二の解析項目、薬剤耐性ウイルスの増殖能の違いと治療薬の選択についても、スクリーニングの段階を終了した。第三の解析項目、ウイルスの増殖能と細胞内増殖制御因子については、着手でき試行錯誤の段階に入った。
|
Strategy for Future Research Activity |
耐性ウイルスの表現型、増殖能の評価:血漿中HIV量について、薬剤効果以前・リバウンド以後、双方のウイルス量を比較する。さらに薬剤効果以前に存在する耐性ウイルスの割合とウイルス量リバウンドの成否との関連を議論する。 薬剤耐性ウイルスの増殖能の違いと治療薬の選択:リバウンドした症例から得られたウイルス株を、新規処方候補薬剤存在下で初代培養し、有効血中濃度(既知)と比較して、増殖制御可能な治療薬を評価する。この議論に結論を得る。 ウイルスの細胞内・細胞間増殖因子:増殖能と比例する細胞内ウイルス制御因子を整理する。 増殖を制御する責任遺伝子の決定:ウイルスのゲノム遺伝子をin vitroで増幅し、細胞に導入する操作を経て、多様な分離ウイルス株集団からの純系ウイルスの単離を目指す(文科大臣確認済プロトコル)。その後、純系ウイルスの遺伝子配列と初代細胞培養系を使用した増殖レベルの比較検討をする。
|
Research Products
(4 results)