2020 Fiscal Year Research-status Report
An analysis of HIV replication competence related to epidemic and disease development
Project/Area Number |
19K10600
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
景山 誠二 鳥取大学, 医学部, 教授 (60252706)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | HIV / エイズ / 増殖能 / 増殖能責任遺伝子 / 細胞内制御因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はフィリピン共和国サンラサロ病院との共同研究として始まり、薬剤耐性ウイルス保有状況から調査を初め、まず薬剤耐性ウイルスの現状調査を終えた。9%程度の薬剤耐性ウイルスの流行を認めた。 「ウイルス株による増殖能の違い」が治療薬の作用に影響する可能性を考慮して、株による増殖能の違いを薬剤非存在下で検証した。明らかな違いが見られたため(Kageyama et al. JIAPAC 2019)、その違いを生む因子の検討に入った。 既に臨床応用されている治療薬が、高い増殖能を示すHIV株を制御可能かどうかの検討を行い、治療薬の一部が感染者血中において、高増殖株に対して薬剤濃度不足を生む可能性を得ている。一方、細胞内増殖制御因子について検討したが、ウイルス産生量に影響を与える制御因子は、mRNAレベルからの観察では発見できなかった。 さらに、雑多なウイルス集団として伝播するその中から「単一のウイルス株をつまみ出す」操作を施行中である。この操作を通じて、最終年度は、流行株の増殖能を決定するウイルス側の責任遺伝子に迫りたい。増殖能と責任遺伝子との対比を明らかにするため、高い増殖能を持つ株と、低い増殖能を示す株、これら2つの株のゲノム遺伝子の違いを追求している。手始めに、それぞれ2株のウイルスゲノム全塩基配列(10kb)を決定した。次に、ゲノム全長を4分割した領域の遺伝子を正の向きにして、8個のインサートをプラスミドベクターに挿入した。さらに、4分割領域の2つの重なり合う部分の「のりしろ」内1箇所を切断でき、その他のゲノム配列には全く見られない制限酵素切断部位を特定した。本年は、それぞれ4分割領域を挿入したプラスミドを組み合わせて、2^4種類のキメラウイルスを作出し、増殖能を決める遺伝子候補を探索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)観察集団の薬剤耐性ウイルスの現状調査を終え、9%程度の薬剤耐性ウイルスの流行を認めた。 (2)「ウイルス株による増殖能の違い」が治療薬の作用に影響する可能性を考慮して、株による増殖能の違いを薬剤非存在下で検証し論文にした(Kageyama et al. JIAPAC 2019)。 (3)臨床応用中の治療薬の血中濃度と、高い増殖能を示すHIV株を制御可能な濃度との関連について一定の評価を終えた。 (4)細胞内増殖制御因子について検討を終えた。 (5)雑多なウイルス集団として伝播するその中から「単一のウイルス株をつまみ出す」操作に入った。それぞれ2株のウイルスゲノム全塩基配列(10kb)を決定できた。次に、ゲノム全長を4分割した領域の遺伝子を正の向きにして、8個のインサートをプラスミドベクターに挿入できた。さらに、4分割領域の2つの重なり合う部分の「のりしろ」内1箇所を切断でき、その他のゲノム配列には全く見られない制限酵素切断部位を特定できた。それぞれ4分割領域を挿入したプラスミドを組み合わせて、2^4種類のキメラウイルスを作出し、増殖能を決める遺伝子候補を探索する準備が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
雑多な集団として伝播する株の中から「単一のウイルス株をつまみ出す」操作の施行を続ける。この操作を通じて、最終年度は、流行株の増殖能を決定するウイルス側の責任遺伝子に迫りたい。増殖能と責任遺伝子との対比を明らかにするため、高い増殖能を持つ株と、低い増殖能を示す株、これら2つの株のゲノム遺伝子の違いを追求する。それぞれ2株のウイルスゲノム全塩基配列(10kb)を決定でき、ゲノム全長を4分割した領域の遺伝子を正の向きにして、8個のインサートをプラスミドベクターに挿入した。さらに、4分割領域の2つの重なり合う部分の「のりしろ」内1箇所を切断でき、その他のゲノム配列には全く見られない制限酵素切断部位を特定した。最終年度である本年度は、それぞれ4分割領域を挿入したプラスミドを組み合わせて、2^4種類のキメラウイルスを作出し、増殖能を決める遺伝子候補を探索する予定である。
|
Research Products
(4 results)