2019 Fiscal Year Research-status Report
蛋白結合型ワクチン導入後に分離された 無莢膜型肺炎球菌の薬剤耐性と分子疫学的特徴
Project/Area Number |
19K10603
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
川口谷 充代 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70733062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80396308)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 無莢膜型肺炎球菌 / 肺炎球菌表層タンパク質 / 分子疫学 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は蛋白結合型ワクチンの導入後における血清型分布と薬剤耐性状況の調査と莢膜を持たない無莢膜型肺炎球菌の分子疫学的・遺伝学的特徴および薬剤耐性を明らかにすることである。2018-2019年に分離された非侵襲性肺炎球菌545株を対象とした解析では、血清型分布(連続多重PCR法等)と薬剤耐性状況(分子疫学的・微生物学的手法)を調査した。結果、小児由来株の95%がPCV13に含まれない血清型で、全菌株(小児・成人由来)の35.6%がペニシリン非感受性および2種類以上の非βラクタム系抗菌薬耐性を示した。この研究内容を含有した調査結果は、現在査読付き学術雑誌へ投稿中である。また、ワクチン導入後の2011年以降に北海道内の医療機関にて分離された非侵襲性肺炎球菌の無莢膜型株に関しては、細菌学的評価(オプトヒン感受性試験・胆汁溶解試験)および分子疫学的評価(LytA遺伝子の検出、莢膜遺伝子の有無)に加え、抗血清を用いた莢膜の有無および無莢膜型株に特異的な肺炎球菌表層タンパク質K (pneumococcal surface protein K: PspK) 遺伝子の保有(PspKを有しない株に関しては、AliC, AliD遺伝子の保有)を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度において、新規に分離された非侵襲性肺炎球菌545株を対象とした解析を終え、学術雑誌へ投稿できたため。さらに、無莢膜株の解析の他にも、次世代肺炎球菌ワクチン候補として有望視されている肺炎球菌表層蛋白の一つである「pneumococcal histidine triad proteins:Phts」に関する分子疫学的解析を終え、研究成果を国際学術雑誌にて報告できたため。以上より、当初の研究計画書に基づいて、本研究の進捗はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の推進にあたっては、初年度に得られた無莢膜型株の解析結果に基づき、無莢膜型に特異的な遺伝子の構造を明らかし、得られた配列は世界的なデータベースGenBankに登録することで情報を公開する。配列を決定した遺伝子はBLASTによる相同配列解析、MEGA7を用いた遺伝学的解析で系統樹を構築し、既知配列との関連性明らかにする。加えて、遺伝学的系統を解析するため、全被検菌株に対して多座位配列型別 MLSTによる遺伝子型 (ST) を明らかにし、薬剤感受性試験も並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
論文投稿中ということもあり、その費用等を確保したため。初年度未使用額分は次年度の研究費に合わせ、解析に必要な試薬・物品の購入および研究成果を発表するための関連費用等に充て研究を推進する。
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Research Products
(7 results)