2021 Fiscal Year Research-status Report
蛋白結合型ワクチン導入後に分離された 無莢膜型肺炎球菌の薬剤耐性と分子疫学的特徴
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19K10603
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
川口谷 充代 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70733062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80396308)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 無莢膜型肺炎球菌 / 肺炎球菌表層タンパク / 分子疫学 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は蛋白結合型ワクチンの導入後における肺炎球菌の継続的な分子疫学調査に加え、莢膜を持たない無莢膜型肺炎球菌(NESp: nonencapsulated S. pneumoniae)の分子疫学的・遺伝学的特徴および薬剤耐性を明らかにすることである。本年度は、これまで継続して行なってきた分子疫学的研究の中で得られた遺伝学的知見を考察し、全無莢膜型肺炎球菌株に対して、β-ラクタム耐性に関与するペニシリン(PEN)結合蛋白(PBP)1a、PBP2b、PBP2xのトランスペプチダーゼ(TP)ドメインにおけるアミノ酸変異を分子遺伝学的手法で詳細に解析を行った。解析の結果、PBP1aでは370STMK373のT371S変異(76.0%)と428SRNVP432のP432T変異(71.8%)、TSQF574-577NTGYへのアミノ酸置換(76.0%)が高頻度で見られ、その80.4-81.5%がPEN非感受性株であった。 PBP2bでは442SSNT445のT445A変異(81.7%)が、PBP2xにおいては337STMK340のT338A変異(77.5%)と546LKSGT550のL546V変異(91.5%)が多く検出された。一方、394HSSN397においてH394L変異が見られた多く(83.3%)はPEN感受性であった。TPドメインには様々なパターン、多数の変異が存在していることが特にPBP2xにおいて確認され、NESpにおけるPBP変異には多様性があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた、無莢膜型肺炎球菌における重要な薬剤耐性遺伝子、β-ラクタム耐性に関与するペニシリン結合蛋白を更なる分子遺伝学的解析で詳細に調査し、その遺伝子配列を世界的なデータベースGenBankに登録することできたため。この研究成果を含有した論文は、オープンアクセスジャーナルに投稿、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまで継続して行なってきた分子疫学的研究の中で得られた莢膜保有の肺炎球菌と無莢膜型肺炎球菌の遺伝学的知見も含め、2020年以降に収集した非侵襲性肺炎球菌株における無莢膜型肺炎球菌の分布状況の経年的変化を調査する。
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Causes of Carryover |
2022年1月時点においてオープンアクセスジャーナルに論文投稿中であったため、その掲載費用等を確保したため。清算後の未使用残額分は次年度の研究費に合わせ、解析に必要な試薬・物品の購入および研究成果を発表するための関連費用等に充て研究を推進する。
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Research Products
(5 results)