2021 Fiscal Year Annual Research Report
Deep Learningによる感染症流行予測モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
19K10614
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
内田 満夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00377251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感染症 / AI / RNN / LSTM / 数理モデル / 流行予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症対策は,公衆衛生においては重要度の高い分野である。感染症が世界規模の災害となる場合,資源の確保,病院の体制,事業継続計画(BCP),封じ込め,感染伝播の予防などの方向性を見立てて対策を立てるという観点より,迅速な事後対応だけでなく,将来予測の重要性が極めて高まっている。感染症の流行を予測するためには,一般的に数理モデルを構築することが多いが,本研究では近年利用されることの多い学習型のAIの技術の一つである再帰型ニューラルネットワーク(RNN)を用いたディープラーニングを用いて流行予測することを目的とした。 本研究では,群馬県衛生環境研究所の週報,月報の情報を用いて,過去の感染症の流行情報をもとに,近い将来のデータの増減を予測して,その一致割合を評価することとした。学習に利用したデータは,2009年から2018年の10年分とし,2019年の1年分をテストデータとした。また流行の評価に用いたのは届け出感染症とし,インフルエンザ,RSウイルス,咽頭結膜熱,A群溶結連鎖球菌,感染性胃腸炎,水痘,手足口病,伝染性紅斑,突発性発疹,ヘルパンギーナ,流行性耳下腺炎,流行性角結膜炎,マイコプラズマのデータをモデルに組み込んだ。 ニューラルネットワークモデルはRNNの変法であるLSTMとし,モデルはPythonにより構築した。モデルの中間層は12層とし,学習は10,000回の訓練によりおこなった結果,モデルの損失関数の値は0.78から0.27まで低下し,モデルの制度を高めることができた。 それぞれの感染症の2019年の流行の観察データと予測モデルの一致度合いを確認すると,報告数が3桁を超えるインフルエンザやRSウイルスは一致割合が高かったが,報告が2桁の流行性耳下腺炎やマイコプラズマは一致割合は高くなかった。以上より,報告数の多い感染症は予測することが可能であると考えられた。
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Research Products
(4 results)