2020 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者の運転停止のプロセスとその後の健康への影響に関する研究
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19K10641
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平井 寛 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20387749)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 / 運転 / 介護予防 / 公共交通 / 交通量 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の活動性とその後の介護費用の関連を検討する分析,運転停止者の活動性低下に関連する環境要因の分析を行った. 高齢者の活動性とその後の介護費用の関連を検討する分析では,調査回答者38875名を約6年間追跡して介護費用を算出した縦断データを用いた.活動性の指標として外出頻度と1日の平均歩行時間を用いた.分析の結果,ほぼ毎日外出している者に対し,外出が週1回以下の者は介護費用が7万円高いことがわかった.また平均歩行時間が60分以上の者に対し,30分未満の者は介護費用が11万円高いことがわかった. 運転停止者の活動性低下に関連する環境要因の分析では,2時点の調査データを用いたパネルデータを用いた分析を行った.個人の心身の健康・機能状態以外に,運転停止後の交通手段,居住地の買い物環境に注目して検討を行った.分析の結果,買い物環境がよくないことが外出頻度と歩行時間の減少に正の関連があることが明らかになった.また,公共交通や自転車の利用が外出頻度と歩行時間の維持に良いことが明らかになった. 運転停止後の活動性の低下を防ぐ1つの方法として,公共交通を利用しやすい環境づくりが考えられるが,公共交通の運行には少なからぬ費用が発生する.活動性の低下について介護費用による評価ができたことは,その支出の根拠の一部となる成果が得られたと考えられる.また同時に高齢者の活動の維持に公共交通等の環境要因が関連していることが示せたことで,高齢者が活動しやすい環境要因への支出の必要性と根拠を示すことができたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活動性の低下について介護費用による評価ができたことと,高齢者の活動の維持に公共交通等の環境要因が関連していることで本研究の主要な目的が達成されたため.
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Strategy for Future Research Activity |
運転停止者の活動性低下に関連する環境要因の分析において,これまでの分析では調査回答者の主観的な環境の評価を用いていた.今後は客観的に評価した環境要因が運転停止後の高齢者の活動性に関連するかを検討する.具体的には,居住地区のバス停,買い物施設までの平均距離,周辺の交通量などによる運転・歩行環境,自転車利用の可否に関連すると考えられる道路傾斜度を用いた検討を行う.
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Causes of Carryover |
研究会・学会等がオンラインで行われたため出席のための旅費が使用できなかった.分析結果の論文化が遅れたために投稿料が使用できなかった.
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