2022 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスチェックに基づく休職等予測モデルの作成およびそれに関連する解析
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19K10643
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川村 孝 京都大学, 医学研究科, 研究員 (10252230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 靖司 東京大学, 環境安全本部, 教授 (00301094)
小林 大介 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (00764911)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ストレスチェック / 予測モデル / 曲線下面積 / 感度 / 陽性予測能 |
Outline of Annual Research Achievements |
自殺者数の高止まりを受けて事業者におけるストレスチェック制度が義務化されたため、それにより精神疾患による休退職をどの程度予測できるかを評価した。 全国の国立・私立22大学において症例対照研究を実施した。症例は2016~19年に精神疾患で休退職した教職員とし、症例と性・年齢・職種をマッチさせた2倍数の教職員を対照とした。2016~18年の症例・対照を導出集団とし、2019年のそれを検証集団とした。ストレスチェックの各質問回答を要因、その後の休退職を転帰として多変量ロジスティック解析を行い、ステップワイズ法で項目選択を行って休退職の予測モデルを作成した。ROC曲線を描き、その曲線下面積(AUC)およびYouden Indexでの感度・特異度等を用いて性能と外的妥当性を評価した。 203例の症例と377例の対照が研究に組み込まれた。導出集団において「自分の意見を反映できる」「イライラしている」「ひどく疲れた」「落ち着かない」「悲しいと感じる」「家庭生活に満足」が予測因子として同定され、その6項目によるAUCは0.768であり、ストレス要因と支援の全項目によるAUCの0.624、ストレス反応全項目によるAUCの0.726を上回った。感度は0.63、特異度は0.80であり、いずれもストレス要因と支援の全項目(感度0.53、特異度0.66)ならびにストレス反応の全項目(感度0.62、特異度0.73)を上回った。検証集団でもほぼ同様の結果であった。 精選された質問項目をもってしても休退職有無の峻別能は十分に高くはなく、陽性予測能はかなり低く、ストレスチェック制度の設計や運用に見直しが必要と思われた。
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Research Products
(2 results)