2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study on arteriosclerotic index CAVI and urinary sodium-potassium ratio in different regions of Japan.
Project/Area Number |
19K10652
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桑原 和代 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70627637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 智教 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00324567)
原田 成 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10738090)
東山 綾 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20533003)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CAVI / 尿中ナトリウム・カリウム比 / 動脈硬化性疾患 / 高血圧 / 危険因子 / 喫煙 / コホート |
Outline of Annual Research Achievements |
INTERSALT研究やTOHP研究では、尿中のナトリウム排泄量とカリウム排泄量の比(以下、 尿中ナトカリ比)と脳卒中死亡や脳・心血管疾患の予後との関連が示されている。また、これらの疾患の発症や冠動脈や脳動脈の動脈硬化に先立って大動脈の動脈硬化性変化が認められることが指摘されている。大動脈の動脈硬化を非侵襲的に把握する手法として脈波伝播速度を用いる方法が普及しているが、その中でもcardio-ankle vascular index (CAVI)は変動が大きい計測時の血圧値の影響を受けにくい指標とされている。患者集団での検討で尿中ナトカリ比が脳・心血管疾患と関連することは報告されているが、 その先行指標である大動脈の動脈硬化の指標となるCAVIとの関連はこれまで報告されておらず、他の生活習慣指標と比べた場合、どの程度寄与の大きさに違いがあるかは明らかにされていない。また尿中ナトカリ比の動脈硬化への寄与は生活習慣が異なる集団において差が認められる可能性もある。 本研究では、研究1)生活習慣および平均塩分摂取量の異なる関西(神戸研究)と東北(鶴岡メタボロームコホート研究)の男女でCAVIを比較し、尿中ナトカリ比との関連が両地域で異なるかどうかを比較・検証する。2)さらに、両地域におけるCAVIの上昇に寄与する危険因子の種類と程度等の差異を明らかにすることを目的とした。2019年度は、研究1)について取組み、両コホートの参加者の背景を検討した。スポット尿における尿中ナトカリ比(mol比)は、両地域ともCAVI 高値群(9.0以上)で高い傾向を示した。男女とも関西に比較して東北において、CAVIも尿中ナトカリ比も高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神戸研究と鶴岡メタボロームコホート研究におけるベースラインデータを用いて基本的な背景(CAVI値、尿中ナトカリ比)の解析を行った。CAVI高値のカットオフ値は、先行研究(Kubozono T, et al. J Atheroscler Thromb, 2009; 16: 840-845.)から動脈硬化性疾患のリスクが高いと予想されるCAVI 9.0以上とした。 神戸研究では、2010年~2011年のベースライン調査に参加し、CAVIを測定した536人のうち、上下肢血圧比 0.9未満の1人を除外した535人(男性323人、女性212人)の解析を行った。平均年齢61.8±8.6歳、左右平均CAVI値は男性8.1±0.9、女性7.9±1.0で、CAVI 9.0以上は86人(16.1%)(男性61人<男性のうち18.9%>、女性25人<女性のうち11.8%>)であった。スポット尿における尿中ナトカリ比(mol比)はCAVI 9.0以上の男性で2.3±1.2、女性で2.1±1.2、CAVI 9.0未満の男性で2.3±1.2、女性で1.9±0.9で、男性はCAVI 9.0以上とそれ未満の群で尿中ナトカリ比は同程度、女性はCAVI 9.0以上の群で高かった。 鶴岡メタボロームコホート研究では、2014年~2015年のベースライン調査参加しCAVIを測定した2033人のうち、上下肢血圧比 0.9未満およびスポット尿のデータがない19人を除外した1995人(男性940人、女性1055人)の解析を行った。平均年齢64.7±6.9歳、左右平均CAVI値は男性8.6±1.1、女性8.1±1.0で、CAVI 9.0以上は529人(26.5%)(男性332人<男性のうち35.3%>、女性197人<女性のうち18.7%>)であった。スポット尿における尿中ナトカリ比(mol比)はCAVI 9.0以上の男性で3.1±1.7、女性で2.9±1.6、CAVI 9.0未満の男性で2.9±1.5、女性で2.7±1.3で、男女ともCAVI 9.0以上の群で尿中ナトカリ比が高かった。
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Strategy for Future Research Activity |
神戸研究では、引き続き尿中ナトカリ比とCAVIデータの収集を進め、他の検査所見等と突合する。さらに両研究の新規測定データも含めて尿中ナトカリ比の地域間比較を詳細に実施する。両コホートとも追跡調査が継続されており、CAVIの経年変化を見る目的でデータの追加収集も予定している。ただし、COVID-19の影響で調査が一部延期となる予定であり、可能な範囲での現地調査によるデータ収集を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は各コホート調査現場への訪問や実地調査を行うことで、研究の目的の達成へ向けて予算を有効活用できた。当初予定していた年度末の調査については、COVID-19の影響でキャンセルとなり、残金は次年度予算に含め、研究費を効率的に使用したいと考えたため次年度使用額が生じた。 次年度は、本年度に使用できなかった予算の一部を効率的に活用して、各コホート調査現場への訪問や実地調査を行う。また、研究分担者と解析についての打合せや学会での成果発表も順次実施する。
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Research Products
(7 results)