2019 Fiscal Year Research-status Report
簡易迅速診断検査を用いたB型肝炎有病率の推定による予防接種プログラム評価法の開発
Project/Area Number |
19K10656
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
駒田 謙一 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 派遣協力第二課医師 (00606973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 予防接種 / ベトナム / HBs抗原 / 簡易迅速診断検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎対策を推進するためには予防接種プログラムの評価が必要であるが、開発途上国では血液検査を伴う疫学調査の実施は容易ではなく、ベトナムおよびアジアで実施されたB型肝炎に関する横断的疫学調査の多くが、特定の世代あるいは集団のみを対象としている。本研究では、簡易迅速診断キットを用いた疫学調査を通してベトナムの一般人口におけるB型肝炎の抗原保有率を推定し、母子感染予防対策および予防接種プログラムの効果を判定することを目的としている。 初年度(2019年度)に、ニャチャン・パスツール研究所と合同で、ベトナム中部の4つの省(Khanh Hoa, Ninh Thuan, Binh Dinh, Quang Ngai)において、1-39歳の住民を対象に調査を実施した。人口比例抽出した48の村において、計2093名に対して質問票調査を実施し、そのうち2089名に対して簡易迅速診断キットを用いたHBs抗原検査を実施した。調査結果については、データ解析を進めているところであるが、対象者を5歳刻みの8つの年齢グループに分け、それぞれのグループにおけるHBs抗原陽性率を算定し、ベトナムにおけるB型肝炎予防接種の導入経緯やこれまでの予防接種実績との比較を行う予定である。 また前述のデータ解析に加えて、調査実施時に別目的で採取された乾燥ろ紙血液の残余検体を用いた追加検査の実施を検討中である。具体的には、HBs抗原やHBs抗体を測定することにより、乾燥ろ紙血液を用いた疫学調査の実用性の検証や、抗体価の測定を通した集団免疫の評価によって予防接種の効果判定を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムのニャチャン・パスツール研究所と合同調査を実施し、当初予定していたデータ収集は完了しており、現在は解析作業を進めているところである。また、さらに研究を発展させるために、残余検体を用いた追加検査をニャチャン・パスツール研究所と合同で実施することを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定しているデータ解析を進めるとともに、残余検体を使用した追加調査の準備・実施を進める。COVID19の影響により、学会の延期・中止が相次いでおり、本研究の成果発表への影響も危惧される。また、同じくCOVID19による渡航制限や国際的な物流の停滞に伴い、追加検査の実施においても、ベトナムのニャチャン・パスツール研究所への資機材の運搬等に困難が伴うことが予想される。一方で、海外の研究協力者との打ち合わせや一部の学会発表は、オンラインで行うことで補うことができると考えられる。
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Causes of Carryover |
予定していたデータ収集を、麻疹や風疹などの他の感染症調査を目的とした別の研究費(国立国際医療研究センター国際医療研究開発費)と合同で実施することができたため、本研究費からの拠出を節約することができた。節約できた分は、研究をさらに発展させるための残余検体を用いた追加検査の実施に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)