2020 Fiscal Year Research-status Report
簡易迅速診断検査を用いたB型肝炎有病率の推定による予防接種プログラム評価法の開発
Project/Area Number |
19K10656
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
駒田 謙一 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 派遣協力第二課医師 (00606973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 予防接種 / 血清疫学調査 / 開発途上国 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2019年度)に、ニャチャン・パスツール研究所と合同で、ベトナム中部の4つの省(Khanh Hoa, Ninh Thuan, Binh Dinh, Quang Ngai)において、1-39歳の住民を対象に調査を実施した。人口比例抽出した48の村において、計2093名に対して質問票調査を実施し、そのうち2089名に対して簡易迅速診断キットを用いたHBs抗原検査を実施した。年齢条件の不適合例などを除いた2075名を対象として解析を実施したところ、年代ごとのHBs抗原陽性率は、1-4歳で1.4%[0.4-4.5]、5-9歳で3.0%[1.6-5.4]、10-14歳で0.8%[0.1-3.4]、15-19歳で3.8%[0.9-14.3]であった。20-24歳では8.8%[5.3-14.1]であり25歳以降もほぼ同様であった。 ベトナムではB型肝炎ワクチンが1997年に導入され、2002年に全国的に拡大されており、20歳未満におけるHBs抗原陽性率の低下に大きく寄与したものと考えられた。また、2003年には出生24時間以内のワクチン接種も導入され、15歳未満のHBs抗原陽性率低下に寄与したと考えられた。一方で、5-9歳で一時的にHBs抗原陽性率の上昇を認めており、副反応に関するメディア記事の影響でベトナムにおける予防接種率が近年一時的に低下した時期があると報告されており、その影響が疑われた。 以上から、簡易迅速診断キットを用いたHBs抗原陽性率の推定を通して、それまでの予防接種プログラムの効果を判定し、将来の予防接種方針を策定するうえでの貴重な情報が得られており、リソースが限られた地域においても比較的安価かつ実施可能な手段として、本調査手法は有用と考えられた。 上記の内容について、2020年度に公衆衛生学会で発表を行い、現在は英文雑誌への投稿準備を進めて老いるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集は完了し、解析結果の一部を研究目的に沿った形で日本公衆衛生学会にて発表で済みであり、英文雑誌への投稿準備も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は英文雑誌への投稿準備を進めるとともに、残余検体を使用した追加調査の準備・実施を進める。COVID19の影響により、海外渡航が制限されており、国際学会での発表や追加調査への影響が危惧される。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、国際学会が中止・延期になったり、残余検体を用いた追加調査の準備のためのベトナムへの渡航を延期せざるを得なくなったなどの理由により、当初の想定よりも使用額が減少した。これらの活動は最終年度に持ち越す予定である。
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Research Products
(3 results)