2021 Fiscal Year Research-status Report
簡易迅速診断検査を用いたB型肝炎有病率の推定による予防接種プログラム評価法の開発
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19K10656
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
駒田 謙一 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 派遣協力第二課医師 (00606973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 有病率 / 予防接種 / 血清疫学調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年に、ニャチャン・パスツール研究所と合同で、ベトナム中部の4つの省(Khanh Hoa, Ninh Thuan, Binh Dinh, Quang Ngai)において、1-39歳の住民を対象に調査を実施した。年代ごとのHBs抗原陽性率は、1-4歳で1.4%[0.4-4.5]、5-9歳で3.0%[1.6-5.4]、10-14歳で0.8%[0.1-3.4]、15-19歳で3.8%[0.9-14.3]であった。20-24歳では8.8%[5.3-14.1]であり25歳以降もほぼ同様であった。ベトナムではB型肝炎ワクチンが1997年に導入され、2002年に全国的に拡大されており、20歳未満におけるHBs抗原陽性率の低下に大きく寄与したものと考えられた。一方で、5-9歳で一時的にHBs抗原陽性率の上昇を認めており、副反応に関するメディア記事の影響で予防接種率が一時的に低下したとされる時期と一致しており、その影響が疑われた。 簡易迅速診断キットを用いたHBs抗原陽性率の推定を通して、予防接種プログラムを評価するうえでの貴重な情報が得られており、リソースが限られた地域で比較的安価かつ実施可能な手段として、本調査手法は有用と考えられた。 また、同じ被験者を対象にした別の調査の残余検体(乾燥ろ紙血液)を使用し、ECLIA法にてHBs抗原検査を実施し、簡易迅速診断キットによる結果との一致を調べ、さらにフィールドで血清調査を行う際のコストを比較した。両者の結果の一致率は99%であり、カッパ係数は0.9であった。前者による調査の推定コストは75,291ドルであったのに対し、後者の場合は53,182ドルであった。両検査は同程度の水準で結果を得られると考えられる一方、簡易迅速診断検査はコスト面で優位、乾燥ろ紙血液ベースのECLIA法は、複数の感染症を同時に評価する際に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究結果は順調に得られているが、COVID-19の世界的流行に伴い、発表を予定していた国際学会が中止となった。また、得られた結果に基づき英文雑誌に論文を投稿しているが、アクセプトに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
英文雑誌へ投稿中の論文について、査読結果に基づき、修正を加えたり、別の雑誌への投稿を行う。国際学会での発表について、COVID-19の流行状況を鑑みつつ、その機会を探る。
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Causes of Carryover |
COVID-19の世界的流行に伴う渡航制限により、参加予定であった国際学会が中止となったり、現地での追加調査の実施に遅れが生じた。また、英文雑誌に投稿した2編の論文が、まだアクセプトに至っていない。 英文雑誌へ現在投稿中の論文について、それらがアクセプトされた場合に掲載料を支出する。また、現在追加で実施しているデータ解析結果について、国内学会での発表に際しての学会参加費や国内旅費、英文雑誌への投稿に際しての英文校正費用や掲載料を支出する。COVID-19の影響で中止となった国際学会での発表について、代替となりうる学会の開催状況を確認しつつ、研究成果の国際的発信を積極的に検討する。
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Research Products
(1 results)