2021 Fiscal Year Annual Research Report
Promoting hand washing with soap in developing countries using a positive deviance approach
Project/Area Number |
19K10665
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野中 大輔 琉球大学, 医学部, 准教授 (00538275)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 手洗い / 石鹸 / 下痢症 / ラオス / 5歳未満児 |
Outline of Annual Research Achievements |
途上国の農村では、下痢症は主な健康問題の一つである。下痢症罹患の約30%は、石鹸を用いた手洗い行動によって予防可能といわれているものの、その行動は普及していない。本研究の目的は、ラオス国の農村にて、石鹸を用いた手洗いを日常的に行っている住民に注目し、手洗い行動の促進・維持に関与していると推定される特徴を発見し、その特徴を他の住民が取り入れることによって、村全体に手洗い行動を普及させることができるかどうかを調べることであった。 一年目は、ラオス国立熱帯公衆衛生院と討議を重ね、研究プロトコルを完成させた。ラオス国保健省ならびに琉球大学の研究倫理委員会から倫理的承認を得た。現地調査を開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、調査はできなかった。 二年目も、現地調査が不可能であった。そのため、ラオス国保健省が2017年に実施した全国世帯調査のデータを入手し、二次データ解析を進めた。具体的には、下痢症罹患に関連すると考えられる要因(飲料水の質や家畜飼育状況など)を統計的に調整しながら、手洗い場に石鹸があるかどうかと5歳未満児の下痢症罹患との関連を評価した。手洗い場に水はあるが石鹸はない世帯の5歳未満児は、手洗い場に水と石鹸の両方が利用できる世帯の5歳未満児に比べて、下痢症エピソードの罹患が有意に多いことが分かった。 三年目は、石鹸を設置しない世帯の特徴を明らかにするために、さらなる二次データ解析を進めた。その結果、世帯の経済状況、世帯主の学歴が手洗い場における石鹸設置と関連していることを明らかにした。これらの研究は、手洗い場に石鹸を設置する世帯を増やすことによって、5歳未満児の下痢症の罹患率を減少できる可能性を示した。加えて、石鹸を入手しやすくすることや石鹸使用の重要性を教育すること等によって、石鹸を設置する世帯が増える可能性を示した。以上の成果を論文・学会発表した。
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