2019 Fiscal Year Research-status Report
日本人集団における生活習慣・健診項目改善による疾病量減少シミュレーションモデ ル
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19K10672
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
村上 義孝 東邦大学, 医学部, 教授 (90305855)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シミュレーション / 生活習慣 / 健康診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、諸外国における同様のテーマの実施状況について文献レビューを含めた調査を実施し、既存手法の整理と問題点の抽出を行った。また疾病量減少シミュレーションモデルの構築に必要なパラメータ(有病率、死亡率、詳細な人口データ)の収集に努めた。また諸外国における同様のテーマに関する調査について、公衆衛生学・疫学方法論に精通した研究アシスタントとともに可能なかぎり進めた。疾病量減少シミュレーションモデルの構築に必要なパラメータの同定・収集であるが、これについては、日本を代表する個人単位のデータ統合によるメタアナリシスであるEPOCH-JAPANでの検討を進めた。あわせてこのメタアナリシスの検討から、血圧と血清コレステロールの組み合わせ水準別の生涯リスクの成果が示された。35歳でのCHD死亡率の10年リスクは0.11%以下、対応する生涯リスク(LTR)は1.84%以上、同様に35歳のCHDのLTRは総コレステロール値が高い参加者[>=5.7 mmol/L (220 mg/dL)]のBPの増加に伴い急激に増加する傾向にあった。またこのリスクは、グレード2、3の高血圧で総コレステロール値が高い男性/女性の7.73%/ 5.77%(95%信頼区間:3.53%-10.28%/ 3.83%-7.25%)であり、正常および高血圧グループでは、低総コレステロールグループと高総コレステロールグループ間のLTRの絶対差は、男性で0.25%以下、女性で0.40%以下であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
諸外国における同様のテーマに関する調査について、公衆衛生学・疫学方法論に精通した研究アシスタントとともに作業を一部進めたものの、網羅性の面で問題があり作業が完成していない。また2020年1月下旬からの新型コロナ感染症の流行に伴い、大学での研究業務に一部支障・混乱が出た時期と、年度の研究業務のまとめの時期が重なったため、2020年に入ってからの研究業務が予定どおりに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は前年度に引き続き、諸外国における同様のテーマに関する調査について網羅的に検索し、レビューを行う。また初年度の研究成果をふまえ、血圧などの連続変数を用いたコンピュータプログラムを作成・実装し疾病量の算出を進める。また各種シナリオを作成したもとでの疾病量減少、およびその精度評価について検討を進める。例えば、高血圧への介入(例:減塩キャンペーン、循環器疾患の啓発など)の効果としての疾病量減少を算出するためには、1.国民全体の血圧分布、2.血圧水準別の疾患死亡率、3.介入効果(血圧分布への影響)などのパラメータが必要となる。これらについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
外国における同様のテーマに関する調査について、公衆衛生学・疫学方法論に精通した研究アシスタントとともに作業を一部進めたものの、網羅性の面で問題があり作業が完成していない。また2020年1月下旬からの新型コロナ感染症の流行に伴い、大学での研究業務に一部支障・混乱が出た時期と、年度の研究業務のまとめの時期が重なったため、2020年に入ってからの研究業務が予定どおりに進まなかった。このため次年度使用額が生じた。2020年は、上記文献調査が円滑に進むよう研究計画を立案する。具体的には研究補助員の勤務日数を増やし、上記作業に集中した研究環境を整えることに研究費を使用する。
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