2020 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドβのクリアランス指標に関する地域疫学研究-横断・縦断的検討-
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19K10676
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
東山 綾 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20533003)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミロイドβ / 一般住民集団 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
吹田:都市部住民を対象にしたコホート研究「吹田研究」での75歳以上の対象者のうち、本研究に同意し認知機能が正常と判定した対象者に、PiB PET/CTおよびMRI検査を8名に実施した(MoCA-Jでスクリーニングする段階での対象者は11名)。新型コロナウイルス感染症の影響で、コホート研究の追跡調査である2年に1度の健診は、当該年度では特定健診項目に限定した短時間での実施に限定され、研究への参加勧奨は実施困難だった。また当研究課題の実施にあたり、動脈硬化性疾患と認知機能とは密接に関連するため、吹田研究で十分検討されていなかった中性脂肪に関し、虚血性循環器疾患との関連を原著論文にし、J Atheroscl. Thrombに投稿して掲載を受理された(現在In press)。 神戸:約1,100名の対象者に2年に1回の追跡調査を実施してきた、健康な神戸市民を対象にしたコホート研究である神戸研究では、5回目の追跡調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で、調査自体の大部分を中止せざるをえず、約230名のみが当該年度の追跡調査を受診した。受診可能であった対象者からは、食事や他の生活習慣に関する問診情報、血液検査の結果やCAVIのデータ、血液凍結検体を得た。 篠山:篠山市住民で特定健診の集団健診受診者を対象とした篠山研究では、新型コロナウイルス感染症の影響で、本年度は研究用採血や生理学検査を休止し、既往歴等に関する追跡アンケートを実施した。過去3年間に調査研究の検査やアンケートを実施していない人1,050名を対象とした。追跡調査アンケートへの同意率は64歳以下:23%、65歳以上:46%(対面調査46%、郵送調査44%)であり、研究として実施し結果を対象者に返却している研究用採血や生理学的検査が実施できなかったこともあり、応諾率は厳しい結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
吹田研究において当該研究を実施するにあたり、75歳以上が対象となるが、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究責任者が国立循環器病研究センターへ出張するのが困難となり、かつ国立循環器病研究センターにおいても、研究参加を勧奨する場となる追跡健診を必要最小限で行う体制になったため、新規75歳を中心とした対象候補者に研究への参加勧奨すら実施できない状況となった。 神戸研究や篠山研究など、兵庫県内の一般住民集団を対象に、研究健診や特定健診の場で研究を行うコホートにおいても、新型コロナウイルス感染症のために、研究健診自体が実施できない、もしくは特定健診の場で研究用の項目を追加することが困難となるなど、経験したことのない、研究実施にあたっての大きな障害が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
吹田研究では、PiB PET/CTを実施するためのピッツバーグ大学からの研究資金の使用期限が2021年4月までであったことから、今後もまったく同様の調査を実施することは実際上不可能である。MoCA-Jを受けた231名(うちPiB PET/CTを受けたのは121名)のデータを有効に活用して知見を得る方法を検討する。 神戸研究は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、実施母体である神戸医療産業都市推進機構の方針によって今年度で追跡調査を中止することとなり、1,100名を対象とした約10年の前向きコホート研究のデータの確定作業を実施中である。本コホートでもこれまで蓄積したデータと凍結保管検体を活用して、本研究課題に関する知見を得られるよう次年度以降は検体を使用した測定などを行う。 篠山研究でも、新型コロナウイルス感染症の影響は継続すると考えられるため、過去に蓄積した血液検体等を使用して、本研究課題に関する検討を行えるよう測定を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更(新型コロナウイルス感染症の影響等を含む)により、疫学調査の実施に関わる費用が当初計画よりも少なくなっていること、また新型コロナウイルス感染症の流行に伴う研究代表者の所属機関の規定により、検体が保管されている施設への訪問と検体測定のための実務進捗が進まないことが主な理由である。 2021年度以降は、検体測定の実務や測定したデータの収集にあたる計画であるが、新型コロナウイルス感染症の流行状況や所属機関の規定をかんがみて、実行可能な研究業務を模索しながら研究費の使用を実施する。
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