2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a non-target drug screening system using in silico prediction
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19K10679
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂 幹樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 技術専門職員 (30447388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ノンターゲット薬毒物スクリーニング / in silico / LC-QTOF-MS / 保持時間予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、法医学ではGC-MSやLC-MSを用いたターゲット薬毒物スクリーニングが一般化しつつあるが、保持時間やフラグメント情報がないnew psychoactive substances (NPS)のような新規薬物を検出することができない。そこで我々は、in silico予測とLC-QTOF-MSを用いたノンターゲット薬毒物スクリーニングシステムを構築することを試みた。そこでまず、保持時間予測精度の検証、化合物データベースの比較、血液への薬物添加・検出に取り組んだ。 保持時間予測:1,290化合物を用いて保持時間予測精度を検証しところ、予測値の90.0%が測定値の±1分の範囲に入り、良好な結果が得られた。この予測保持時間をデータベースに取り込んで、モノアイソトピック質量と保持時間による同時検索を可能にした。 化合物データベース:ChemSpider + PubChemデータベース(約98,000,000化合物)と薬毒物データベース(我々が作成した薬毒物に特化したデータベース、約2,000化合物)の比較を行った。ChemSpider + PubChemデータベースでは、1ピークの検索で10,000以上の化合物がヒットしてしまい、続いてフラグメント解析を行っても絞り込むことは困難であった。薬毒物データベースのように必要な化合物だけを検索できるシステムの方が実践的であることがわかった。 血液への薬物添加・検出:7種類のNPSを血液に添加し、その抽出物をScan測定したところ、18,006のピークが発生した。薬毒物データベースを用いて検索したところ、ピーク数を10まで絞り込むことに成功した。この中に7薬物は全て含まれていた。この結果から、血液またはLCライン由来で発生した多くのノイズピークを削除することに成功したと言える。 本研究成果は、国際学会TIAFT2019で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ChromGeniusというソフトウェアを用いて、新規薬物にも対応可能な拡張性の高い保持時間予測モデルを作成しているが、この予測モデルがほぼ完成に近づいている。 薬毒物データベースは3,000~4,000化合物を目標に拡張中ではあるが、順調に進行している。 LC-QTOF-MS、データ解析のパラメータ最適化もおおよそ最終的なものになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、拡張中の薬毒物データベースを完成させる。 このデータベースを用いて血中薬毒物を測定・解析し、候補薬毒物を絞り込めるか確認する。 現在、ポジティブモード測定のみを検討しているが、ネガティブモード測定の薬毒物も検討する。 実験・解析結果が良好であれば論文作成に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの支出ではあり、若干の残金は無理に使用せず翌年度に繰り越した。 翌年度も同様に、実験費用、学会発表の旅費として使用する予定である。
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