2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a non-target drug screening system using in silico prediction
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19K10679
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂 幹樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 技術専門職員 (30447388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ノンターゲット薬毒物スクリーニング / in silico / 薬毒物データベース / 保持時間予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究では、ノンターゲット薬毒物スクリーニングで用いるデータベースの比較を行い、市販の化合物データベース:ChemSpider + PubChemデータベース(約98,000,000化合物)を用いると、time of fright-mass spectrometer(TOF-MS)を用いても、1ピークの検索で10,000以上の化合物がヒットしてしまい、事実上解析は困難であることが判明した。これとは対照的に、薬毒物に特化した薬毒物データベースを作成し、これを用いて解析すると、かなりの絞り込みが達成でき、法医学の実務レベルで使用できるノンターゲット薬毒物スクリーニングシステムとなった。 しかし、昨年度使用した薬毒物データベースは約2,000化合物とやや少なかったため、本年度は約3,000化合物への拡張を達成した。この中には、新たに合成されたnew psychoactive substances(NPS)も多数含まれている。NPSは日本でやや沈静化の傾向にあるものの、ヨーロッパ、アメリカなどでは現在でも次々と新しい化合物が合成され市場に登場している。我々の作成したデータベースの特徴は、化合物の構造式さえわかれば、すぐに追加することができることである。多くのデータベースは標準試薬を用いて、保持時間とMSフラグメントを予め調べてあるものであり、非常に有用ではあるものの、標準試薬の入手が絶対条件となり、新しい薬毒物への対応が遅れてしまう。我々のデータベースは、保持時間とMSフラグメント情報をin silicoモデルで予測することによって、迅速な登録が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究におけるノンターゲット薬毒物スクリーニングを用いて実際に薬毒物が検出できるのかを検証する必要がある。 使用分析機器:Liquid chromatography-quadrupole time of flight-mass spectrometry (LC-QTOF-MS)におけるポジティブモードは7種類の薬毒物で検証を行ったが、ネガティブモードにおける検証実験は昨年度行うことができなかった。京都の島津製作所にあるLC-QTOF-MSを借りて測定する予定であったが、コロナ禍で入室することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) ネガティブモードで検出される薬毒物の検証実験、数種類の薬毒物を血液に添加し、ノンターゲット薬毒物スクリーニングで検出できるかどうかを調べる。 2) すでに検証済みのポジティブモードの結果と合わせて、LC-QTOF-MSパラメータの最適化を行う。 3) 論文を作成する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた学会が中止となったため、繰り越した。 繰越金を含めて、実験費用、出張費、論文の英文校正に使用する予定である。
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