2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒ素による神経細胞死 --- ネクロトーシス、フェロトーシスの関与について
Project/Area Number |
19K10681
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上村 公一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋 利彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60304474)
船越 丈司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40444715)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ヒ素 / ネクロトーシス / フェロトーシス / パイロトーシス / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素による神経細胞死にネクロトーシス、フェロトーシス、パイロトーシスなどのネクローシス様の制御された細胞死が関与しているとの仮説に基づいて、本研究を進めた。それぞれの細胞死の実行・関連因子として、ネクロトーシスにRIPK1、RIPK3、MLKL、フェロトーシスにGPX4、xCT、パイロトーシスにcaspase1、GSDMDがあるとされている。神経細胞死のモデルとして、株化細胞のマウス神経芽細胞腫Neuro2A細胞を用いた。培養液中に最終濃度1〜100 uMとなるようにヒ素(亜ヒ酸、As2O3)を投与し、経時的に細胞を回収した(6、24時間後)。位相差顕微鏡による観察により細胞のバルーニングを認めた。蛍光顕微鏡による観察、MTT assay、LDH releaseの結果から、20 uM以上ではネクローシス様細胞死であると考えられた。Western blottingによる蛋白質の解析から、20uM以上でcaspase 3の活性化、5 uM以上でDFNA5/GSDME(細胞の増殖、分化、パイロトーシスに関与する蛋白)の増加を認めた。さらに、蛋白質のプロテーム解析(電気泳動、CBB染色、MALDI-TOF-MS解析)から、20 uM以上でVDAC1(電位依存性アニオンチャネル1)、PHB2(プロヒビチン、転写調節因子、ミトコンドリア機能に関与)、100µM でIRF2(GSDMDの発現を誘導する転写因子)の増加を認めた。GSDMD、GSDME、PHB2について、RT-PCRによりmRNAの変動を検討し、GSDMEの減少傾向を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予測通り、ヒ素(亜ヒ酸、As2O3)により、神経細胞にネクローシス様細胞死が誘導された。細胞内で変動する蛋白質の発現について、詳細に検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
・Neuro2A細胞において、100 uMでネクローシス様細胞死が起こっている。フェロトーシスの関与を確認するため、GPX4、xCTの変動について調べる。 ・一般に細胞の防御機構であるストレス顆粒のマーカーG3BP1を用いて、蛍光顕微鏡下で観察する。予備実験では100 uMでストレス顆粒が多数観察される。As2O3暴露における、ストレス顆粒の役割を検討する。 ・細胞死の経路が確定した実行・関連因子について、詳細に検討する。さらに、他の種類の神経細胞やマウス初代培養神経細胞を用いて、結果の確認を行う。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス感染の拡大のため、実験の実施を一部次年度に延期したため。 次年度、実験再開に伴い、速やかに執行する。
|