2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素による神経細胞死 --- ネクロトーシス、フェロトーシスの関与について
Project/Area Number |
19K10681
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上村 公一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋 利彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60304474)
船越 丈司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40444715)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒ素 / ヒト肝がん細胞Huh-7 / 酸化ストレス / 細胞老化 / パイロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素は自然界に広く存在する毒物であり、慢性中毒においては皮膚症状、末梢血管障害、肝障害などが報告されている。ヒ素汚染水の長期的な摂取によるこれらの疾患の発症が問題視されているが、発症機序など不明な点が多い。本研究では三酸化二ヒ素(arsenic trioxide, ATO)の長期曝露が肝細胞に与える影響についてヒト肝がん細胞を用いて検討した。 ヒト肝がん細胞Huh-7に5μMのATOと抗酸化剤としてN-acetyl cysteine (NAC)を1週間曝露し、細胞の形態変化や生存率の評価を行った。更に細胞死関連タンパク質や老化関連タンパク質の変動を解析し、細胞の老化を確認するために老化マーカー酵素の活性染色を行った。また、マイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行った。 顕微鏡による形態観察ではATO群で細胞膜バルーニングを伴う死細胞の増加、ATO+NAC群では細胞死の抑制と扁平・巨大化した細胞の増加が認められた。ウェスタンブロット解析よりcaspase3とガスダーミンEの切断活性化が確認され、アポトーシスとそれに引き続くパイロトーシス 様の二次ネクローシスが確認された。また、これらはATO+NAC群では抑制されていた。更に、老化関連タンパク質p21のATO群における有意な発現上昇が確認された。細胞老化の程度と細胞死の関係を確認するためにベータガラクトシダーゼの活性染色を行ったところ、細胞死を免れた扁平・巨大化した細胞で強い染色が認められた。 ATOの長期曝露により肝がん細胞ではパイロトーシスが引き起こされ、抗酸化剤により抑制された。細胞死を免れた細胞には細胞老化が進行しており、老化がかえってATO毒性を回避して生存することに寄与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)