2021 Fiscal Year Annual Research Report
エタノール依存症マーカーを用いた法医解剖例の飲酒状況推定法の開発
Project/Area Number |
19K10689
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中前 琢磨 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (20453409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルコール摂取マーカー / HPLC / QTOF-MS / 蛍光検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医解剖におけるアルコール分析では、代謝が進み事件、事故時のエタノール濃度が不明である場合や、腐敗によってエタノールが産生されて死亡時の濃度を知ることができないことも多い。本研究では法医検体における生前の飲酒状況を推定することを目標としてエタノール依存症マーカーの分析法の検討を行い、当教室において取り扱った法医検体への適用を行い、その有用性の検討を行った。 2019年度はHPLC-蛍光検出によるヘモグロビン結合型、血清タンパク結合型アセトアルデヒド分析法の検討を行い、2020年度は先行研究により法医検体における有用性を明らかにした5-HTOL、5-HIAA比に関して腐敗の進行による影響に関する検討を行い、これらの影響を受けた症例でも有用である可能性を示した。2021年度は当分野内にLC-QTOF-MSが導入されたことから、アルコールの摂取をより簡便に分析するためにアルコール摂取マーカーであるEthyl glucuronideおよびEthyl sulfateの迅速分析法の検討を行った。前処理として等量のアセトニトリルによる除タンパクおよびCaptiva ND lipidsによる精製を行い、ODS系カラムを装着したLC-QTOF-MSに注入した。Ethyl glucuronide、Ethyl sulfateともに添加検体において100 ng/mL以下の検出が可能であり前処理も簡便であることから、法医検体における生前の飲酒の証明に有用であると考えられた。 これら研究により、法医検体における生前の飲酒状況を詳細に推定することが可能となると考えている。
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