2019 Fiscal Year Research-status Report
急性膵炎重症化に関わるケモカインシステムの法医分子病理学的検討
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19K10692
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
道上 知美 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00529240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10364077)
野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00244731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 法医病理学 / 急性膵炎 / ケモカイン / サイトカイン / 突然死 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性膵炎におけるケモカイン受容体CCR5の病態生理学的役割について検討した.【方法】7~11週齢の雄のC57BL/6J(野生型,WT)およびCcr5遺伝子欠損(KO)マウスに消化管内外分泌促進作用を有するセルレインを腹腔内投与(①群:50μg/kgを1時間ごとに10回,②群:100μg/kgを1時間ごとに6回,③群:200μg/kgを1時間ごとに6回)し,膵炎を誘発した.初回投与前および初回投与後4時間,7時間,10時間,24時間の時点で尾採血し,血清アミラーゼ(Amyl)値を測定した.【結果】セルレインの腹腔内投与により,WTおよびKOマウスの血中Amyl値は投与前の5~10倍程度に上昇した.また,初回投与後24時間の時点で採取した膵組織では急性膵炎の病理組織像が確認された.セルレイン濃度と投与回数の影響をみたところ,①群と②群ではいずれも同程度に血清Amyl値が上昇したものの,WTとKOの間に有意な差は認められなかった.③群のWTマウスでは前記2群と比較して血清Amyl値の上昇は顕著であったが,KOマウスのそれは前記2群と概ね同程度であった.さらに,③群でのWTマウスとKOマウスを比較したところ,初回投与後7時間および10時間において,WTマウスに比較してKOマウスの血清Amyl値は有意に低値であった.【考察】比較的低用量のセルレインでは急性膵炎は惹起されたもののWTマウスとKOマウスの間に有意な差は認められなかった.一方,高用量のセルレイン投与ではKOマウスに比べてWTマウスで有意にAmylが高値を示したことから,CCR5を介したシグナルがセルレイン誘発急性膵炎の増悪因子である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研費を申請した後に,予測をしていなかった異動が決定してしまったため,研究遂行に関して、新しい施設での研究のための施設・人員整備を進めている.また,新型コロナウィルス感染防止のため,県外への移動が制限されたことから研究分担者との調整に困難をきたしている.今後は上記の点の解決に尽力する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,病理組織学的および分子生物学的解析を進めるとともに,CCR5の阻害剤やリガンド欠損マウスを用いた検討を加え,セルレイン誘発急性膵炎の病態生理学的メカニズムとCCR5の関連性について明らかにしていく予定である.
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況の項で記載したが,予期せぬ施設移動に伴い,研究が遅滞している.今後は研究を速やかに実施できるように進める予定である.
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