2020 Fiscal Year Research-status Report
司法への貢献を目指した覚せい剤受動喫煙に関する研究
Project/Area Number |
19K10693
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
光本 明日香 (貝崎明日香) 昭和大学, 薬学部, 講師 (70407443)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 覚醒剤 / メタンフェタミン / 炙り使用 / 能動摂取 / 受動摂取 / 尿中濃度 / メトキシフェナミン |
Outline of Annual Research Achievements |
メタンフェタミン(METH)の加熱吸煙(炙り使用)により能動的に摂取した場合と受動摂取した場合の尿中薬物濃度の違いを明らかにし、司法において必要な学術的基盤を示すことを目的とし、検討を行った。また、ヒトでの研究を行うこと視野に入れ、モデルドラッグとしてメトキシフェナミン(MPA)を用いて、METHと同様の検討を行った。 当研究室で開発した吸入曝露装置を用い、条件1;能動摂取、条件2;車内での受動摂取、条件3;室内(6畳)での受動摂取の3条件で、MEHTをマウスに曝露した。曝露装置内のMETH濃度は、条件1と2では300倍以上の差があり、条件3は検出限界以下であった。METH煙曝露後、96時間後まで24時間毎に採取した尿中METH濃度を測定した結果、条件1では96時間後まで感度よく検出された一方、条件2, 3では24時間後尿でわずかに検出されるのみで、通常のスクリーニングキットでは陰性となるレベルであった。また、METHおよびその代謝物であるアンフェタミンの尿中排泄率はヒトと同等であることが確認できた。さらに、条件1では自発運動量の増加や体温上昇が認められたが、条件2ではわずかな生理学的変化(体温上昇)が認められるのみで、行動変化は認められず、条件3ではいずれも認められなかった。 同様に、条件1、2でMPAをマウスに曝露した。その結果、曝露煙濃度や尿中排泄率は、METHと同様の結果が得られ、吸入曝露の実験系においても、MPAがMETHのモデルドラッグとなり得ることが示された。しかし、条件1でMPAを曝露されたマウスにおいて、自発運動量の低下や体温低下など中枢抑制作用が認められた。以上のことからヒト研究に発展させる前にMPAの毒性について検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つの理由により、やや進捗が遅れている。 ①コロナ禍の影響により、本学において実験動物を購入できない時期があった。(研究を中断せざるを得なかった。) ②メトキシフェナミンは一般用医薬品に含まれる成分であり、安全性は高いと考えられている。また、これまでに、覚醒剤のモデルドラッグとしてメトキシフェナミンをヒトに経口投与した研究が報告されている。しかし、本研究において、これまでに報告されていないメトキシフェナミンの中枢神経抑制作用が確認された。そのため、このままの実験系でヒト研究をすることは不可能と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトでの研究に発展させるため、まずは実験動物を用いて、メトキシフェナミンが中枢神経抑制作用を示す投与量、投与経路等を明らかにする。その結果をヒトに外挿し、炙り使用を再現する上で、安全な用量を求める。その後、ヒトでの研究を実施する。
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Research Products
(11 results)