2019 Fiscal Year Research-status Report
Diagnostic meaning of enterobacillus phenyl acetyl glutamine as uremic toxin in forensic autopsy case.
Project/Area Number |
19K10699
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
久保 真一 福岡大学, 医学部, 教授 (10205122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 健二 福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)
ウォーターズ ブライアン 福岡大学, 医学部, 助教 (00609480)
高山 みお 福岡大学, 医学部, 助教 (40804802) [Withdrawn]
柏木 正之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70301687)
松末 綾 福岡大学, 医学部, 講師 (70309920)
池松 夏紀 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20848410)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フェニルアセチルグルタミン / 尿毒素 / 死因 / 法医解剖 / クレアチン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、尿中のフェニルアセチルグルタミン(PAG)の分析法の検討と、法医剖検例の分析を行った。【材料・方法】症例:2017年1月1日から2018年12月31日までの2年間に福岡大学医学部法医学教室で解剖した法医解剖230例のうち、解剖時に尿が採取できた97例について分析した。【結果・考察】尿中PAG濃度と年齢、性別、死後経過時間、障害発生から死亡までの時間(期間)との関係:尿中PAG濃度と年齢、性別、死後経過時間との関係を、相関係数、群間比較を用いて統計学的に検討したところ、尿中PAGと年齢との間に、弱い正の相関を認めたが、性別に有意差は認めなかった。尿中PAGは、死後経過時間の影響は認められなかった。一方で、クレアチン(Cr)は、死後変化に伴い分解されることから、死後変化の影響を考慮し、死後経過時間48時間以内の症例(64例)について、尿中PAGの法医剖検診断の意義の研究対象とした。健康成人尿6検体について、尿中PAG濃度とCr濃度を測定した。尿中PAG濃度は95~436μg/mL、Cr濃度は92~185mg/dLで、Crで補正したPAG/Crは0.063~0.236mgであった。そこで、我々の健康成人の尿中PAG濃度を基準値として採用した。尿中PAG濃度が333.3μg/mL(平均+SD)以上を異常群、462.1μg/mL(平均+2SD)以上を高度異常群として検討を行った。研究対象とした64例のうち、尿中PAG異常群は5例で、全て高度異常群(最小値477、最大値863μg/mL)であった。そこで、これら5例について検討を行った。基本データ、1) 性別、2) 年齢、3) 死後経過時間、4) 障害発生から死亡までの経過時間(期間)、5) 死因について検討したが、明らかな特徴を認めなかった。今後、尿中PAG/Crおよび尿中PAG濃度が異常を示す要因の解明に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【尿中PAGの分析法】試薬:PAG-d5、カフェイン-d3の内部標準物質(IS)液他を用いた。試料調製:尿0.1 mL、脱イオン水0.3 mL、IS液、ウレアーゼ水溶液0.04 mLを混ぜ、30分後、アセトニトリル2 mL、酢酸0.05 mLを混ぜ、抽出カラムに通液、続いてアセトニトリル2 mLとアンモニア水0.1 mL(CBA)または2M塩酸0.1mL(SAX)の混合液を流し、酢酸0.3mLを入れたガラス試験管に、通過液を採取した。窒素気流下で濃縮乾涸した。残渣をメタノール/酢酸プロピル(5/1)に溶解し、GC-MSで測定した。測定条件:カラム:ZB-SemiVoltiles/BPX5タンデムカラム、オーブン温度80℃から調整した。この分析法で安定的な結果が得られた。 【分析症例数】2017年1月1日から2018年12月31日までの2年間に福岡大学医学部法医学教室で解剖した法医解剖230例のうち、解剖時に尿が採取できた97例について分析した。さらに分析結果の解析により、研究対象を、死後経過時間を48時間以内とすることとした。その結果、研究対象症例は64例となった。研究対象の条件が明らかになったことから、今後の研究対象は、死後48時間以内の症例とする。 【PAGの診断意義について】64例の尿中PAGの分析の結果、5例が異常値であった。この5例について、年齢、性別、死後経過時間、障害発生から死亡までの時間(期間)、死因の基本データの解析した結果、診断意義を明らかにすることはできなかった。 今後は、研究対象症例を増やすこと、Cr補正値で尿中PAG濃度を再評価することで、診断意義の解明を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年の研究実績により、研究対象を死後経過時間48時間とすることが明らかとなった。PAGの濃度をCr補正することとした。 【材料・方法】死後経過時間48時間以内の剖検例を追加し、研究対象症例を累積していく。分析法については、引き続き改良点がないかの検討を続ける。さらに、尿に加え、血液の抽出法を検討する。 【PAGの診断意義について】尿中PAG/Cr値の異常値症例について、基本データの他に、症例の病態を剖検所見等から解析し、診断意義を検討続ける。さらに、血中PAG濃度を新たに、分析項目とすることで、尿中PAG/Crの診断意義の解明に繋げる。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は、概ね予定通りの補助金額で実施したが、少額(3,070円)の次年度使用額が発生した。令和2年度は、この次年度使用額を含めて、予定通りの予算額で執行する予定である。大幅な、予算執行の変化は生じるものではない。
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