2019 Fiscal Year Research-status Report
マイクロX線CTによる証拠資料に付着した皮膚片の同定法とDNA型検出性の検討
Project/Area Number |
19K10704
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
今泉 和彦 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (00356148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 慶 科学警察研究所, 法科学第一部, 研究員 (10649528)
小川 好則 科学警察研究所, 法科学第一部, 主任研究官 (20443088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロX線CT / 証拠資料 / 微細物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度課題として、マイクロX線CT装置により皮膚片を可視化するための条件設定を行った。具体的には、(1)付着担体の材質、(2)CT撮影条件、(3)画像解析条件について検討を行った。 (1)では、セロハンテープ、綿棒、微物キャッチャーを用いた場合の皮膚片の採取効率、担体と皮膚片の分別の容易さ、採取後の細切と試料ステージへの固定のしやすさを比較検討し、今後本研究では担体の均質性、細切の容易さ等の理由により、微物キャッチャーを用いることとした。(2)では、使用しているCT装置には、撮影条件として「金属」、「混合材」、「樹脂材」の3種の観察対象に対するテンプレートが準備されているところ、「樹脂材」の撮影条件が優れていることが明らかとなり、この撮影上条件を基本として若干の変更を加えていくのが良いと考えられた。一方で、画像品質向上のために用意された複数回の撮影後の重積法は、撮影・解析時間が共に長くなりすぎるため、実施する必要はないと考えられた。(3)については、CT画像解析ソフト「VGSTUDIO-MAX」のボリュームレンダリング像について、グレー階調の閾値と一定の階調範囲の半透明化をマニュアル作業で調整することで皮膚片が可視化できることが示された。ただし、この処理は試行錯誤的な要素が多く、安定的な可視化には至っていないことから、、今後引き続き多試料について解析を行い、各種パラメータの適正な設定範囲を定めながら、可視化条件を絞り込んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の検討課題である、皮膚片観察における(1)付着担体の材質、(2)CT撮影条件、(3)画像解析条件の検討を行い、(3)について若干の追加検討の必要があるものの、他の二つについてはおおむね予定どおりに実験が進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
CT撮影後の画像の可視化において多試料よる追加検討を行うとともに、CT像と、皮膚片染色後の実体顕微鏡像とを比較し、CTにより過不足なく皮膚片が可視化されていることを確認する。また、ほこりなどの夾雑物があった場合に皮膚片をCT像において分別できるか、可視化条件設定を変更しながら検討する。 単位面積当たりの皮膚片量と、そこから抽出されるDNA量から皮膚片1個あたりのDNA量を求め、皮膚片のDNA型鑑定への適用性を明らかにする。また、具体的な事案を想定し、ビニールひも等からの皮膚片の可視化と続くDNAの抽出が可能かどうかを確認する。
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Causes of Carryover |
当初、2019年度予算配分時に、2020年度に開始する予定のDNA抽出・定量にかかる試薬を2019年度後期中に一部購入することを想定していたが、DNA関連実験の開始が遅れる可能性が考えられたので、試薬の試用期限を考慮して次年度に繰り越すこととしたため。 2020年度に、当該実験にかかる試薬を購入し、速やかに実験を開始する。
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