2022 Fiscal Year Research-status Report
Prevention of thrombosis by enhancing the blood flow using foot-bath and aroma hand massage which are known to have a sterss-decreasing effect.
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19K10716
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
林 辰弥 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (00242959)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ローズマリー / 血管内皮細胞 / 組織因子経路インヒビター |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、足浴やハンドマッサージの血流速度の改善に基づく血栓症予防効果、さらにはその血栓症予防効果とストレス軽減効果との関連性を解析した結果、37℃の湯温を用いた足浴ではストレス軽減効果が認められるものの、それによる副交感神経優位に伴う血管拡張により血流速度が低下すること、逆に、40℃や43℃の湯温を用いた足浴により血流速度は増加するものの、ストレス負荷効果による交感神経優位が明らかになり、40℃や43℃の湯温を用いた足浴に見られる血流速度の増加は、交感神経優位による血管収縮が一因になっている可能性があることが示唆された。加えて、ローズマリーを用いたハンドマッサージでは、血流速度の低下が認められるが、ストレス軽減効果による副交感神経優位が明らかになり、血流速度の低下は、副交感神経優位による血管拡張が一因になっている可能性があることも示唆された。血管拡張が、血液の流路が広がる点で血栓症予防につながると考えられることから、これらの結果は、血流速度の遅速を指標とした足浴やハンドマッサージの血栓症予防効果の評価に限界があることを示すものと考えられた。そこで、足浴やハンドマッサージの際に使用する各種アロマオイルの血栓症予防効果に焦点を絞り、前年度は血管内皮細胞が産生する線溶阻害因子であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター-1産生に及ぼすローズマリーの影響を検討した結果、ローズマリーの濃度依存性にプラスミノゲンアクチベータインヒビター-1産生が阻害されることが明らかになり、これまでの検討について、再現性を得ることができた。本年度は、血管内皮細胞が産生する抗血栓性因子である組織因子経路インヒビターについてローズマリーの影響を検討した。その結果、ローズマリーは0.0002%の濃度でも血管内皮細胞における組織因子経路インヒビター産生には影響しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
足浴やハンドマッサージの血流速度の改善を指標とした血栓症予防効果の評価において、それらのストレス軽減あるいは負荷効果による血管拡張あるいは収縮の影響を除外して評価が可能か否かについて、先行研究などを精査することで検討を行ってきたが、その結果、血流速度の遅速を指標とした足浴やハンドマッサージの血栓症予防効果の評価には限界があることが明らかになった。そこで、ローズマリーをはじめとする各種アロマオイルの血管内皮細胞が有する線溶促進作用や抗血栓作用に焦点を絞って検討することとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
血栓症の発症に関わるウィルヒョウの3徴として知られている血流のうっ滞、血管内皮細胞障害及び血液凝固・線溶因子の増減による過凝固状態のうち、血液凝固・線溶因子の増減による過凝固状態に及ぼすアロマオイルを用いた足浴やハンドマッサージの効果を最大限に引き出すため、足浴やハンドマッサージの際に使用するアロマオイルの血管内皮細胞の有する線溶促進作用と抗血栓作用に及ぼす影響について、アロマオイルの種類を増やして検討することとする。
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Causes of Carryover |
これまでに、足浴やハンドマッサージの血流速度の改善に基づく血栓症予防効果、さらにはその血栓症予防効果とストレス軽減効果との関連性を解析した結果、40℃や43℃の湯温を用いた足浴により血流速度は増加するものの、ストレス負荷による交感神経優位が明らかになり、血流速度の増加は、交感神経優位による血管収縮が一因になっている可能性があること、加えて、ローズマリーを用いたハンドマッサージでは、血流速度の低下が認められるが、ストレス軽減効果による副交感神経優位が明らかになり、血流速度の低下は、副交感神経優位による血管拡張が一因になっている可能性があることが示唆された。血管の拡張が、血液の流路が広がるという点で血栓症予防につながると考えられることから、これらの結果は、足浴やハンドマッサージの血流速度の遅速を指標とした血栓症予防効果の評価に限界があることを示すものであると考えられ、これらにより、研究の方向性の変更を余儀なくされた結果、次年度には、足浴やハンドマッサージによる血管内皮細胞が有する線溶促進作用や血栓形成抑制作用を最大限に引き出すためのアロマオイルをスクリーニングする必要性が生じたため。
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