2020 Fiscal Year Research-status Report
シニア看護職への効果的マネジメントに向けたワークモチベーションの実態と源泉の解明
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19K10726
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
小島 さやか 新潟青陵大学, 看護学部, 助教 (40599263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (80454700)
内山 美枝子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10444184)
中村 悦子 長岡崇徳大学, 看護学部, 教授 (60367422)
袖山 悦子 長岡崇徳大学, 看護学部, 教授 (00567422)
桶谷 涼子 長岡崇徳大学, 看護学部, 助手 (30851191)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ワークモチベーション / シニア / 看護職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シニア看護職のワークモチベーション(以下、WM)の実態とそれを規定する心理的メカニズムを解明することである。そして高齢者の希望・特性に応じた働き方ができる環境づくりを目標に、シニア看護職のWMを活性化するための効果的なマネジメントのあり方について、実践的な示唆を提供することを目指している。二年目となる2020年度は、シニア看護職のWMの実態解明のための調査(地方の中・大規模5病院に勤務する看護職対象)の集計、分析を行った。 【1.病院に勤務する看護職の年代別ワーク・モチベーション:シニアに焦点をあてて】看護職409名を対象とした分析の結果、与えられた職務を全うする達成志向モチベーション(以下、M)や同僚との協力M、新しい知識や技術を学ぼうとする学習Mは年代による有意差は認められなかった。一方で、医療安全に必要な安全志向Mは年代によって有意な差が認められ、20歳代から30歳代にかけて下降し、そこから60歳代にかけて上昇する傾向を示していた。 【2.年代別に見た看護師の安全モチベーションの源泉:自己価値充足モデルからの検討】安全モチベーション尺度(池田他,2018)と自己価値充足モデル(社会的貢献感、組織内自尊心、誇り)、安全パフォーマンスとの関連についての看護職533名の分析から、安全Mの源泉は年代によって異なる関連性を示した。20歳代は看護という職務への誇りが、30-40歳代はケアが患者の役に立ったと感じる社会的貢献感が、さらに、シニア層である50歳代以上は、誇りと組織から必要とされていると感じる組織内自尊心がモチベーションの源泉となっていた。以上から、モチベーションを効果的にマネジメントするためには年代ごとの源泉を押さえる必要性を示唆していた。 調査結果の一部はすでに発表を終えた。2021年度にはさらに分析を進めて関連学会で報告するための準備が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき調査結果の検討、分析をを実施できた。Covid-19の影響により、医療現場で働く看護職への調査においては困難な状況があることから、研究計画の一部を変更したものの、申請書で述べた研究計画に沿って、シニア看護職のワークモチベーションを左右する心理的メカニズムの解明を進めることができていることからおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
三年目となる2021年度は、調査結果の分析をさらに進め、看護師の達成志向モチベーションの源泉として時間的展望(将来志向および現在志向)と働く動機の効果が年代によって異なるか実証的に検討する。加えて看護師の安全志向モチベーションと自己価値充足モデルとの関連について検討を重ねる。研究結果をもとに、年代やキャリアに応じたワークモチベーションの醸成をマネジメントするための方策について提言することを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、旅費に係る費用が少額であったことが挙げられる。これは、Covid-19の影響で県外をまたぐ移動が困難となり、他県の研究者が集合して会議を実施できなかったことが挙げられる。また、各学会がweb開催となったことから、旅費の支出が不要となった。代替方法として、テレビ会議システムを用いて定期的に打ち合わせを行い、研究の実施には支障がないよう進めることができている。繰り越された研究費については調査結果報告のための学会参加費、論文投稿にかかる費用のほかに、関連文献・資料の購入といった物品費にも利用する。
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Research Products
(2 results)