2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K10731
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
渡邊 智恵 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (00285355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西上 あゆみ 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (30285324)
藤井 知美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (30734008) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 復興感 / 風水害 / 災害看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的にみて風水害の発生件数が一番多く、日本では特に被害の大規模化に伴い対応が求められている。しかしながら、風水害後の被災者が生活再建できたことを実感するのはどういう状況かは、明らかになっていない。本研究は、支援する側の看護職が認識した風水害後の被災者の復興感について明らかにすることを目的にして質的調査を実施した。 対象者は、風水害の被災者に対し支援活動を最低3か月以上展開した行政やNPOを含む団体等に属する看護職である。調査期間は、令和2年5月~令和3年11月である。調査項目は、基本属性、復興感に影響を与えている要因、復興感を促進するための支援についてインタビューした。分析方法は逐語録を読み直し、支援者が認識する被災者の復興感に影響する要因を語っている部分に注目し、その部分の意味内容が損なわれないようにコード化し、カテゴリー化した。なお、日本赤十字広島看護大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(1907-S)。 インタビュー調査を6名に実施できた。復興感に影響する肯定的な要因は、「自宅が再建できること」「地域の活性化」「仕事の再開」「経済的安定」「生きがいの創出」「祭りなどの地域活動の再開」「災害への備えが始まること」等の18カテゴリーを抽出した。否定的な要因は、「ハザードの存在が継続していること」「周辺環境の変化」「復旧できない自宅」等の9カテゴリーを抽出した。また、支援としては、「思いを表出する場を設ける」「問題に対する実際的な支援を行う」「地域の絆を再構築する」「中長期的に支援する」等の9カテゴリーを抽出した。復興に向かうためには、生活の安定が基盤となり、地域社会が再構築され、新たな役割行動や活動がとれるようになることがきっかけになるため、その支援は、被災後の心身のケアを行いながら、継続して関りを持ち、地域社会の再建に向けた支援を意図的に行うことが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染状況により、実際にインタビュー調査が開始できたのが一昨年で、内諾を得ていた調査対象者には約半年待ってもらい、再度依頼をして協力を得ることができた。時間を要したが、目標とする総数6件の調査ができたため、「やや遅れている」とした。また、調査のできない期間に、文献レビューを行うことができ、復興感に関する要因については示唆があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度に文献レビューをした復興感に関する要因と実際の調査結果を検討し、考察を深めていく予定である。最終年度に計画している実際に風水害の被害を受けた住民側のインタビュー調査に関しては、新型コロナウイルス感染症の感染状況により受入が難しい場合もあるため、調査方法に関しては検討していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の収束状況によるが、文献検討をした結果と支援した側の調査結果を考察を深めるための会議やその結果報告を学会(学会参加費、交通費)等で行うことを検討している。また、可能であれば、被害を受けた住民側の調査ができるように、調査経費(交通費、調査謝礼、データ入力費)等を計上している。
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Research Products
(1 results)