2019 Fiscal Year Research-status Report
心機能変動予測システム開発のための入浴負荷による心機能変動因子の解明
| Project/Area Number |
19K10732
|
|---|
| Research Institution | Shikoku University |
|---|
Principal Investigator |
山口 豪 四国大学, 看護学部, 准教授 (60532182)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 泰子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (30330773)
冨澤 栄子 四国大学, 看護学部, 准教授 (60709096)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 入浴 / 入浴可否判断 / 心エコー / 心拍変動解析 / 交感神経活動 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、入浴負荷による心機能変動予測システムを作製するために、入浴による負荷が心臓の構造や機能に及ぼす影響とその因子との関係を明らかにすることである。
今年度は静水圧から生じる負荷（全身浴・半身浴）の違いによる心機能変動の解析を唾液アミラーゼ、血圧などの間接的生理指標や、VAS法を用いた疲労感の主観的指標に加えて、心拍変動解析や心エコー検査など心臓に対する直接的生理指標を加えることで、心機能変動因子を明らかにすることを計画していた。
その結果、血圧は半身浴、全身浴ともに収縮期血圧、拡張期血圧のいずれも入浴中に低下がみられ、入浴10分中9分後に最も低下し、出浴直後には入浴前とほぼ同じ値に戻った。その代償として脈拍数は入浴直後から増加し始め、入浴9分後に最大値となり、出浴直後には元のレベルに戻る傾向にあった。心拍変動解析では、副交感神経活動の指標とされるHFは、入浴前と入浴中では大きな差がみられなかったが、入浴後に全身浴と半身浴の両方、特に半身浴で急激な上昇がみられた。一方、交感神経活動の指標とされるLF/HFは、全身浴と半身浴の両方で入浴中に上昇がみられた。しかし、半身浴では出浴後10分間に急激に交感神経活動の低下がみられるのに対し、全身浴では出浴後30分まで高い交感神経活動が持続していた。この交感神経活動は唾液アミラーゼでも似たような傾向がみられた。VAS法による疲労感の主観的指標に関しては、入浴9分後に全身浴で上昇がみられるものの大きな差は今のところみられない。
心エコーに関しては、左室の形態等のデータは取れるものの、まだ例数が不足しており、さらに実験数を増やしていかなければいけない。
以上より、心エコー以外ではある程度の傾向が見えつつある。しかし、より直接的心機能評価法である心エコーに関してはもう少し検討を要するといえる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血圧や心拍数などは、ある程度例数も得られ、傾向もわかってきた。また、入浴中の心拍変動解析を行うことが可能になったため、唾液アミラーゼとの関係にも類似の傾向がみられ、興味深い結果になりつつある。しかし、心エコーは検査者の手技の関係もあり、左室形態に関するデータは得られているものの、血流に関するデータが不十分である。また、生理や自律神経の影響を考え被験者の性別を男性に限定しているため、例数があまり得られていない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
現在研究代表者が心エコーのデータを取得しており、かなり手技的に上達してきたものの、短時間で必要なデータを正確に取得するとなると、不安が残る。今後はより専門的な研究者にも研究に参加してもらうことを検討している。
|
| Causes of Carryover |
消耗品等はこれまでに所持していた物品である程度賄えたため、新たに購入する必要がなかった。また、研究の都合やデータの関係上、学会発表や出張にあまり行けなかったため未使用額が生じた。
令和２年度は消耗品として唾液アミラーゼモニターのチップや、ホルター心電図の電極などを購入することを計画している。また、心エコーの手技を向上させるために、研修に参加する予定であり、その研修費等に充てるとともに、より専門的な心エコー計測技術を習得した検査者に協力を依頼し、その謝礼に充てる予定である。
|
