2021 Fiscal Year Research-status Report
心機能変動予測システム開発のための入浴負荷による心機能変動因子の解明
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19K10732
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
山口 豪 四国大学, 看護学部, 准教授 (60532182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 泰子 広島文化学園大学, 看護学研究科, 教授 (30330773)
冨澤 栄子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (60709096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 入浴可否判断 / 心エコー / 心拍変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は健常成人男性(20-47歳)を対象に全身浴(腋窩の下2横指)、および半身浴(剣状突起の下2横指)における入浴前、中、後の生体の変化を測定した。体温(腋窩温、前額部皮膚温、サーモグラフィ、鼓膜温)、血圧(収縮期血圧/拡張期血圧)、脈拍数などのバイタルサイン、唾液アミラーゼ、自覚的疲労度(VAS)、心臓電気活動(ホルター心電計)は入浴前、中、後、心エコーに関しては入浴前、後に測定した。環境温度、湿度は室温26.0±0.8℃、湿度63.7±7.4℃であり、湯温は40.2±0.5%であった。 期間を通じて血圧や脈拍数に変化は認めるものの、有意な差は認めなかった。各種体温も変化は認めるが、有意な差はなかった。唾液アミラーゼは個人差が大きく、明確な結果は出なかった。自覚的疲労度(VAS)は出浴直後に上昇傾向を認めるが、まだ解析に至っていないため、今後の課題とする。 被験者は全身浴と半身浴のいずれにおいても入浴前、中、後30分の間に不整脈を認めず、この期間を通じて副交感神経活動をあらわすHFは有意(p<0.05)に低下し、逆に交感神経活動(L/H)は有意(p<0.05)に増加していた。心エコーでは全身浴において入浴前、出浴直後、出浴10、20、30分後の左室駆出率は出浴直後で有意(p<0.05)に増加していた。これはこれまでの先行研究と類似の結果であり、大きく逸脱はしていない。ただし、いくつかの心エコーのデータに関しては計測値の逸脱を認めるため、再度データを見直したり、再計測する必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も新型コロナウィルス感染症のため、予定通りに実験が進まなかった。それでも、限られた回数ではあったが実験を行うことができた。しかし、やはり被験者の確保や実験協力学生の確保に関しては困難な面があった。 また心エコー測定技術の習得にも時間を要した。限られた時間内で最適な面で、最適な像の描出をするにはもう少し修練が必要である。 ただし、全くエコー像のデータが取得できなかったかというとそうではなく、限られたチャンスに最善を尽くし、今自分でできる最善のデータは取得できたと思っている。そのため進捗としては遅れてはいるものの確実に前進しており、これまでの先行研究とも大きな矛盾は生じてはおらず、今年度は2度学会発表をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関してはデータの症例数が不足していることと、もっとより早く、より正確に心エコー像を描出する技術の向上が課題である。 症例数に関しては地道に例数を積み重ねるしかないのであるが、被験者の確保がまず問題である。とくにこれまで研究代表者の所属学部の学生・教員を被験者・実験協力者にしていたため、実施が困難な時期もあった。被験者に関しては所属学部にこだわらずに広げる必要性もあり、実験参加者に関しては勧誘学生の学年等を広げる必要性もある。 また心エコー描出技術に関しては、技術習得のための研修参加を希望している。ただし、研究代表者の所属先の他業務もあることや希望研修先の都合もあり、希望が通るかは不透明ではある。その代替案として心エコー測定のみは心臓超音波検査士資格を保有する臨床検査技師の派遣を依頼し、測定してもらうという手段もある。ただし研究代表者としては今後の展開も考えて、ある程度自分で測定できる知識と技術を習得しておきたいため、あくまで次善の代替案として検討したい。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍ということもあり、思うように研究が進まなかった。データの取得が思うとおり進まなかったため、学会発表も限られていた。特に海外の国際学会へは参加することができず、国内の学会もオンライン開催となっていることが多いため、旅費が発生しなかった。 今後の使用計画としては、次年度にいくつかの学会発表を計画しており、その旅費に充てる。また学会によっては英文抄録を求められるため、英文翻訳料に充てることを計画している。
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Research Products
(2 results)