2021 Fiscal Year Research-status Report
診療所における効果的・効率的な感染管理活動のための指標の作成
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19K10774
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐藤 淑子 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (40249090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
喜田 雅彦 大阪府立大学, 看護学研究科, 助教 (10844227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 診療所 / 感染対策 / 感染管理活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究分担者グループが前年度に実施した診療所の感染管理担当者と看護職者を対象とした感染対策の実態調査の分析を進めた。研究協力が得られた26施設のうち4施設が有床診療所で22施設は無床診療所であり、診療所の感染対策を担っているのは医師と看護師であった。日常業務における感染対策については、手指衛生や咳エチケット、環境清拭などが90%以上の実施率であったのに対し、医療法施行規則で必要とされている感染対策マニュアル作成や感染対策の研修会の開催、院内の感染症発生に関する情報の把握・集計については実施していない施設が認められた。また、診療所看護師78人の個人防護具の使用について、採血時や血液・体液曝露予測時、感染症疑い時にはマスク着用100%に対し、手袋や目の防護具、ガウン・エプロンは施設により大きな差が見られた。さらに、防護具の着脱について「理解できており適切に着脱できる」と回答した看護師は手袋で約85%であったが、目の防護具やマスク、ガウン・エプロンでは60~70%台であり、それ以外は「理解できているが着脱が不十分」「理解が不十分で着脱方法が不十分」と回答していた。診療所看護師の感染予防行動の個人防護具着用と「行動意図」の影響要因の比較では、「自身の個人的な評価」や「感染対策の必要性の認識」「同僚からの評価」「コスト意識」「個人防護具の配置状況」などに関する項目で有意差が認められた。この調査結果から、感染対策マニュアル作成など診療所の感染管理体制構築の必要性とともに、感染対策研修会への参加が少ない診療所の看護師に個人防護具着脱に関する技術教育の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は研究分担者グループの調査結果ならびに感染症専門医と感染症看護専門看護師へのヒアリングにより指標の試案を作成して1~2施設に導入し、効果的・効率的な指標となっているか評価を受ける予定であったが、コロナ禍で専門家へのヒアリングと施設での試案導入を進めることができなかった。 昨年度取り組んだ新聞記事の内容分析によるAMR対策の国民への情報発信の現状に関する実態調査の結果をまとめて学術誌へ投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担グループの調査結果に基づき、診療所の感染対策の実態を反映した感染管理の指標案を作成し、感染症専門医と感染症看護専門看護師にヒアリングを行って指標案を精錬した後、1~2施設に導入して評価を受ける。 協力施設は、医師会を通じてリクルートする計画であったが、研究分担者や協力医師を通じて直接依頼を行うことで協力を得る方法に変更する。
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Causes of Carryover |
診療所でのフィールドワークや感染症専門医と感染症看護専門看護師へのヒアリングが実施できなかったため、協力施設で使用予定の感染対策物品の購入費や協力者への謝金が持ち越しとなった。 2022年度は感染管理指標の試案に対する感染症専門医と感染症看護専門看護師へのヒアリング謝金と診療所での試行にあたって必要な協力者への謝金や感染対策物品の購入・運搬費ならびに報告書の印刷費と郵送費、作業補助の人件費などに使用する予定である。
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