2021 Fiscal Year Research-status Report
ディープ・アクティブラーニングとして文化的気づきを誘発するVR教材の開発
Project/Area Number |
19K10813
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野崎 真奈美 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (70276658)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 かづみ 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (80347236)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文化的気づき / 外国人患者 / 看護職 / アクティブラーニング / ルーブリック / 360°パノラマ映像 / VR教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は異文化間能力の発端である文化的気づきを誘発する教材開発である。すなわち、外国人が日本の病院を受診する際に感じる不安や困難感を、日本人が1人称体験できるVR教材を開発することである。第1段階(2019年度)として、文献検討により、外国人患者と日本人医療スタッフとの間のgapを抽出した。第2段階(2020年度)として、学習目標を設定し、ルーブリックを作成した。第3段階(2021年度)として、第2段階で作成した学習内容から5つ選び、シナリオに基づき360°パノラマ映像を撮影した。テロップ入れや画面遷移の編集を行い、コンテンツのプロトタイプを作成した。これは、日本人女子学生がフランス旅行中に腹痛を発症し、現地の病院を受診したところ、虫垂炎と診断され入院・手術する経験を再現している。開発者間でユーザビリティ評価とICEルーブリックによる学習成果の評価を行った。この形成評価の結果として、コンテンツのプロトタイプは、言葉がわからないことの困難感や不安を感覚的に体験できることを確認した。しかし、各シーンの状況が理解できないこと、相手の文化や自分の先入観にまで思いが行かないことが指摘された。そこで、視聴のガイダンスの追加、各シーンの状況説明の追加、発言のサマリーの提示、振り返りのためのクイズの設定を加えて、VR動画教材としてのコンテンツを完成させた。 その後、フランス語の素養がなく、海外留学経験のない看護学生及び大学院生(n=15)を対象に、同一環境下で教材を視聴してもらい、学習目標の到達度(25項目中の該当数)、教材のユーザビリティについて質問紙調査を行った。結果として、1人称体験により、ある程度の文化的気づきを誘発することが確認された。一方、文化の理解や自分の先入観を掘り下げるには活用方法にさらなる工夫が必要であるとの課題が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により対面での教育活動及びデータ収集の機会が制限されたため、教材を評価する段階が少々遅れている。ディープ・アクティブラーニングを誘発する教材として洗練させるためには、文化の理解や自分の先入観を振り返ることを促進するように活用方法等を工夫し、評価する必要があり、研究期間の延長が求められる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長することによって、感染対策に留意しながら、教材評価のためのデータ収集を推進する。次に、文化の理解や自分の先入観を振り返るようなグループワークの持ち方を検討し、ファシリテータ―ズガイド、ワークシート等を作成し、学習要項にまとめることで、アクティブラーニングのための教材として洗練していく予定である。
|
Causes of Carryover |
第1に、コロナ禍により対面での教材評価が制限されて進捗がやや遅れたためである。第2に、教材としての運用方法を検討し評価を重ねることで、本教材がさらに洗練できると期待するためである。
|