2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K10814
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
木下 康仁 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 特命教授 (30257159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萱間 真美 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60233988)
岡田 明子 (蛭田明子) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (80584440)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 看護研究 / 批判的実在論 / Critical Realism / 科学哲学 / メタ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は主に以下の4件の活動を行った。 1.新たな科学哲学である批判的実在論(Critical Realism)が看護領域においてどのように研究に用いられているかを明らかにするためを文献検討をシステマティックに行った。日本語では皆無であったが、英語に関して主要検索エンジン(PubMed,CINAHL、EMBASE、BNI)を用いて最終的に250編に絞り込んだ。すべてを入手し、紙媒体とデジタル媒体で保存した。そして、これらについて個別に批判的実在論のどの点が活用されているのかの検討作業を開始しており、看護の専門分野別に参照しやすいように整備作業に着手した。 2.看護と批判的実在論に関する研究会を本プロジェクトのメンバーで聖路加国際大学において看護学研究科の博士後期課程の学生を中心に立上げ、代表者による講義、基本文献の講読、文献検索の結果などを内容として3回実施した。他大学の大学院生、教員を含め20名ほどが参加している。2020年度の研究会は準備会的な位置づけであったが、2021年度からは研究会の案内の範囲を広げ新たな院生と教員の参加により30名強の態勢となった(2021年4月に第四回を開催)。 3.Centre for Critical Realism(批判的実在論研究所、英国)が公開しているwebinarの講義プログラムが多数あり、論者による立場の相違と研究領域の多様性の観点から主要なものを詳細に検討し、資料にまとめ始めてている。 4.批判的実在論に関する主要文献の入手と精読を前年度に続き進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響により海外調査が実施できないことと、看護領域の主要な質的研究者への国内調査もweb面接に馴染まない面があり準備を継続しているが実施には至っていない。 ただ、批判的実在論は実在論の再規定から認識論を相対化するのでいわゆる数量的研究と質的研究の対立性を破棄し、客観性と主観性を統合する立場を提供するので、博士論文に取り組んでいる大学院生には研究会への参加が自身の研究計画を点検する機会になっていることが新たに理解できた点である。 文献検討も計画通りに進めることができており、全体としてはおおむねではあるが順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会活動を中心に内容を充実していく。 また、国内調査は準備が整ってきているので実施していく。海外調査および海外からの専門家を招聘してのシンポジウムについては、状況を見ながら判断していく。 本プロジェクトの最終目的である看護領域の大学院レベルでのテキストの作成に向けて構成等、具体的に検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
計画している海外調査が実施できないことが大きな要因となっているが、大学院生のアルバイト作業を増やし、文献検索や資料収集、その整理などを進めてきたが、これをさらに継続していく。 海外、国内の調査旅費の支出如何で左右されるが、状況の好転を期待している。
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Research Products
(3 results)