2020 Fiscal Year Research-status Report
スキンケアに害のない、皮膚及び粘膜への適応が可能な消毒薬の開発に向けた基礎的研究
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19K10826
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
池田 敬子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (60331807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 多美子 四国大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40716049)
小山 一 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80109074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スキンケア / N-アセチルトリプトファン / 消毒薬 / 低刺激 / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸器などの粘膜表面でのウイルス不活化薬としてのN-アセチルトリプトファン(AcTrp)の実用化に向けて、その作用様式についての解析を進めた。その結果、AcTrpが呼吸器感染ウイルスである①A型(PR8株)及びB型(Aichi株、Tokyo株)インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ネコカリシウイルス(いずれも非エンベロープウイルス)である呼吸器感染ウイルスを30℃5分間という温和な条件下でも顕著に不活化した。また②その不活化が溶媒のpHに依存しており、酸性側でより顕著であった。③夾雑タンパク質の存在下においても調べた限りでは(注射薬としての許容濃度範囲内で)AcTrpの濃度を上げることにより検出限界まで不活化できることがわかった。しかし、④ウイルスの不活化は溶媒の緩衝材の種類に依存していることもわかり、その中でもリン酸塩で最も顕著な不活化が見られ、クエン酸塩やリンゴ酸塩では不活化効率が低いことが明らかになった。また、AcTrpは⑤ウイルス不活化作用に加えて、感染細胞に対し、ウイルス増殖作用を抑制する効果を持つことも明らかにできた。 環境面でのウイルスの消長として、試料と時間を選定し実験を行うことができたが、口腔ケアの評価ならびに洗口液の組成についての研究においては、前年度に引き続き、症例数を増やして解析する予定であったが、新型コロナウイルスが流行しICUに入室し、サンプル採取が困難な状況となったため実施することができなかった。 これまでの研究成果の一部をまとめ、次年度には投稿できるよう準備を進めていった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実用化に耐える消毒活性をもつものを選定し、多様な呼吸器感染ウイルスを用いた実験を行うことを計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、大学教育の体制つくりに大幅な時間を要したことから、予定通りには進められなかった。また、口腔ケアの評価ならびに洗口液の組成については、口腔が汚染しやすいICU患者を対象に標準洗口操作による口腔洗浄の効果と効果の持続性を症例数を増やし解析することを予定していたが、ICUに入室することが困難な状況で今年度は断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
スキンケアに有効であるものを探索する基礎研究を重ねるとともに、口腔ケアの実施状況を細菌数の減少を定量的に評価できるよう症例数を増やして行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は国内外において学術集会が現地開催されず、オンライン開催であったため旅費を使用しなかった。来年度は残された課題に対する実験を行う予定である。
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