2021 Fiscal Year Annual Research Report
スキンケアに害のない、皮膚及び粘膜への適応が可能な消毒薬の開発に向けた基礎的研究
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19K10826
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
池田 敬子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (60331807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 多美子 四国大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40716049)
小山 一 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80109074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スキンケア / ヒダントイン / ウメ由来フェノール性化合物 / 消毒薬 / 低刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
成果を投稿し、さらにウイルス不活化についての解析を重ねた。 1.ヒダントインのウイルス不活化作用 蜜にも含まれるヒダントイン(Hyd)は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を不活化する(Nishinami et al., Biophys. Chem. doi: 10.1016/j.bpc.2021.106621.)。(1)HSV-1はpH 6.0ではNaClで不活化されないが、Hydで不活化された。(2)インフルエンザウイルス(IV)はpH 5.5では弱い酸不活化を受けるが、0.2M NaClで抑制される。ところが0.2M Hydでは短時間に10-3以下にまで不活化される。(3)同様の作用はIVの型と亜型とを越えて見られた。(4)この不活化は0.1%アルブミン存在下でも見られた。 2.ウメ由来フェノール性化合物(UP)によるウイルス不活化 UPはウイルス感染初期過程(吸着侵入)を阻害でき、この作用が気道感染阻止に利用できると考え、種々のウイルスでのUPの作用を解析した。HSV-1は0.0005%UP存在下で感染効率を10-2まで下げた。IV-A/PR8は0.005%lでIV-Bでは0.009%で10-1まで下げたが、HSV-1に比べると阻害は弱かった。 3.N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル(CAE)によるコロナウイルス感染効率の抑制 COVID-19に対する予防薬の可能性をネココロナウイルス(FeCoV)をモデルウイルスとして検証した。CAEの細胞障害作用は限定的で、濃度0.012%で死細胞出現率は5%であった。CAE存在下でFeCoV濃度に応じて0.008%CAE存在下では25-1まで低下した。CAEは広範なウイルスの増殖阻害や不活化作用も示し、不活化は酸性でより強く、緩衝液の工夫で、感染阻止効果を可能ととなると考えられる。
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