2020 Fiscal Year Research-status Report
日常世界と看護をつなぐ方法論としての漢方看護論の創出
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19K10836
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
山田 雅子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30459242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 千文 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (80258988) [Withdrawn]
津田 篤太郎 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 診療教育アドバイザー (90837882)
西村 恵理奈 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (80849993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 漢方看護論 / 看護基礎教育 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護学生が対象者を包括的に捉える力を養うことを目指し、「漢方看護論」を看護基礎教育に取り入れようと考えている。そのために、2019年度から取り掛かっている「漢方看護論」の中身の吟味に加え、それを短時間でわかりやすく看護学生に伝えていく具体的な方法を模索した。2020年度には新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、大学で対面式の講義が難しくなったため、2019年度に開発した教材をオンラインでも対応可能なものに修正し、4月当初からの10回分の講義では、それを用いて授業を進めた。 2020年4月から5月にかけて「看護ゼミナール(漢方医学と看護)」を履修した学部4年生は20名だった。教材は、看護学生に身近な事例を用いて漢方医学の基本理論を解説した。教育ツールとしてはパワーポイントによるスライド原稿と、ワードを使ったスライドの解説文、そして動画である。学生は各自自宅で学習するため、自宅でできることをところどころに演習として挿入しながら、画面だけで理解するのではない工夫をし、講義後には学習支援システムを用いて、感想などを共有できるようにした。 履修者20名は全員が最後のレポートまで提出した。レポート課題は、自分あるいは身近な人を四診し、弁証し、それに基づいた養生法を挙げてみるとした。全員が一通り課題に沿った記述をすることができていた。オンラインだけでも漢方医学の基本理念を理解し、それを活用した一通りの考え方を演習をしながら理解することができると評価できた。一方、自分だけを対象として検討した学生にとって、他者と比較して所見の解釈を深めることができなかったということが新たな課題となった。5月に講義が修了した後、漢方医学の専門家に教材の評価をしてもらい改善すべき点の指摘を得、さらなる教材の改善に取り組んでいる。 また、研究成果は、第10回日本在宅看護学会および聖ルカ・アカデミアに報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には、漢方医学に基づく看護実践事例を集めることを考えていたが、多様な学会で交流集会を企画するなどして、漢方医学を看護実践に取り入れている看護師と出会いたいと考えていたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延に関連してその機会を得ることが難しかった。その機会は2021年度に得る目途が立った。 教材の開発は、専門家から有益なコメントを得ることができ、第2バージョンの作成が進んでいる。現在、挿入するイラストの作成およびデザインの統一などを、プロに依頼しているところである。 これらの状況から概ね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
教材の第2バージョンは、2021年度の履修者に活用し、修了後には履修者より教育内容および教材についてのフィードバックをもらい、第3バージョンを作成する。 漢方医学に基づく看護の実践例の収集は、6月末から開催される第8回日本CNS学会の交流集会を介して実施予定である。 上記二つを統合し、実際に看護現場に活かせるような、漢方医学に基づく看護論を扱う教育媒体を作成する。
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Causes of Carryover |
看護学生に対して実際に開講した経験についてを看護系学会に報告し、本研究の課題に興味を持つ看護実践者とアクセスをして、ヒアリングをする予定であったが、当該学会が新型コロナウイルス感染症の蔓延に関連して中止となったため、学会参加およびヒアリングするための移動にかかる旅費の支出ができなかったため。 2021年度は6月に開催予定の第8回CNS看護学会の交流集会に参加し、ヒアリング対象者をリクルートし、情報収集する計画のめどが立っている。ヒアリングはオンライン等で行い、その内容の逐語録の作成や分析にかかる費用を支出する予定である。
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