2019 Fiscal Year Research-status Report
注射処方箋なぞり読みトレーニングツールの汎用化に向けた看護教育パッケージ開発
Project/Area Number |
19K10844
|
Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
川西 美佐 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (80341238)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三林 洋介 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (10409899)
吉田 文子 佐久大学, 看護学部, 教授 (80509430)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 注射事故防止 / 看護学 / 医療安全 / 注射処方箋 / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、看護師の注射処方箋読み取りエラーを防止するために、「なぞり読みトレーニングツール」の基礎教育の場における汎用化に向けて、ツールの看護教育パッケージとして「トレーニングツール」「学習履歴分析ツール」「教育ガイド」を開発し、教育パッケージの有効性を検証することである。 2019年度は、目標1.文献検討と医療事故事例の分析、目標2.トレーニングツールの問題・出題順・解説の問題セットの作成によるツール改良、目標3.学習履歴分析ツールの作成に取り組んだ。 目標1.医療事故事例の分析は、日本医療機能評価機構医療事故情報収集等事業の事例検索(2018-2019 年)により、看護師が当事者である注射薬に関する事例のうち、注射処方箋と薬剤の照合確認における事故54件について、エラー内容を確認事項6R で分析した。最も多かったのは投与量であり(Right Dose)16件(30%)、調剤量誤りや流量誤りがあり、処方箋の読み取り誤りと共に流量計算誤りが原因であった。次が患者(Right Patient)4件(7%)、薬剤(Right Drug)3件(6%)、時間(Right Time)3件(6%)、投与ルート(Right Route)2件(4%)であった。その他、複数の6Rにより発生した注射未実施13件(24%)、看護師の確認により医師の指示エラーに気づいた13件(24%)であった。 目標2. トレーニングツールの問題・出題順・解説の問題セットの作成によるツール改良については、医療事故事例の分析結果をもとにトレーニングツールの問題を100セット作成した。 目標3.学習履歴分析ツールは、基本構想として、教師が自校の学習履歴を個別分析でき、かつ、ツール提供者となる本研究者らが利用者全体の学習履歴を総括分析できるような、学習履歴分析ツールの仕様書を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、本研究者らが先行研究で基本設計を開発した注射処方箋「なぞり読みトレーニングツール」をもとに、ツールの改良が主な取り組みであった。先行研究から継続した研究組織であること、ツールであるアプリ作成のための業者との連携が取れていることから、概ね順調に進められた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、引き続き目標2.トレーニングツールの問題・出題順・解説の問題セットの作成によるツール改良と、目標3.学習履歴分析ツールの作成を行う。特に、本年2月以降の感染症拡大により、看護基礎教育の場においても、全国的にICTを活用した遠隔授業を余儀なくされている。本研究で開発しているトレーニングツールと学習履歴分析ツールは、学習者も教師もオンラインで利用できるため、遠隔授業に使うことができる。この利点を活かして、さらに学習者のセルフトレーニングの視点をツールに加えて教育パッケージを作成する。
|
Causes of Carryover |
2019年度に予定していた研究組織の会議について、全国的な感染症拡大により都道府県を越えた移動に自粛要請がなされたことから集合会議を次年度に開催することにしたため、旅費を次年度に持ち越すことになった。
|