2020 Fiscal Year Research-status Report
ラテックスアレルギー予防に向けたタンパク質フリー天然ゴム素材の開発
Project/Area Number |
19K10846
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Research Institution | Fukuoka Nursing College |
Principal Investigator |
梶原 江美 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (00389488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 英親 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (20284276)
小野 聡子 川崎医療福祉大学, 保健看護学部, 講師 (20610702) [Withdrawn]
山本 祥正 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90444190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラテックスアレルギー / 天然ゴム / タンパク質フリー / 尿留置カテーテル / バックキャスト / 溶出タンパク質量 / 窒素含有率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療現場でのラテックスアレルギーに関する現状を明らかにして、天然ゴムからタンパク質を除去したタンパク質フリー天然ゴム素材の開発可能性を探ることである。本年度は、アンケート調査と医療製品のタンパク質量の測定を実施する予定であった。しかし、COVID-19の影響によりアンケート調査は実施できなかった。 昨年度の調査で、ラテックスアレルギーに関するヒヤリハット事例が尿留置カテーテルで起こっていることを確認した。そのため、医療現場で使用されている医療製品のタンパク質量の測定については、昨年度実施した天然ゴムラテックス製手袋に引き続き、今年度は、尿留置カテーテル5種の測定を行った。これら尿留置カテーテルは、天然ゴムラテックス製ではあるものの、カテーテル表面をシリコンコーティングされているものが多かった。測定方法は、昨年度と同じく、溶出タンパク質量については改良ローリー法を用いて、窒素含有率についてはケルダール法を用いて行った。 測定の結果、ウシ血清アルブミンを用いて行った改良ローリー法では、シリコンコーティングのカテーテルでは約100μg/g-rubber、コーティングをしていないカテーテルだと300μg/g-rubber以上の溶出タンパクがあることが確認された。また、ケルダール法を用いた窒素含有率は、0.19%~0.35%間で収まっていた。改良ローリー法で得られたデータとは異なる傾向があり、シリコンコーティングで表面処理がされ、溶出タンパク質量が低く抑えられているカテーテルでも、ゴム試料全体のタンパク質を示す窒素含有率は高いカテーテルがあった。そのため、表面処理により溶出タンパク質量は減少しているものの、何らかの原因によりゴムが切断、破損などが生じた場合、ゴムの内部が露出し、内部に残存していたタンパク質によって曝露やアレルギー症状が出現する可能性があることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響により、アンケート調査が実施できなかった。 また、医療製材のサンプル収集にも時間がかかったため、研究進度が大幅に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象および方法を再度検討する。特に、調査方法については、COVID-19の状況を見ながら、自記式アンケート調査からWEBによるアンケート調査に変更するなど方法を検討し、必要な経費を算出して臨む。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、天然ゴムラテックス製尿留置カテーテルの収集に時間がかかり、予定していたアンケート調査は実施できなかった。また、感染拡大予防のための緊急事態宣言の発出により、対面での打ち合わせや学会発表などの旅費を使用できなかったため、前年度繰越金に加えて支出が少なかった。 次年度は、アンケート調査などの方法を再検討していくとともに、COVID-19の影響を踏まえて天然ゴムラテックス製医療製剤の使用状況など医療現場の意見や専門家の意見聴取など行っていく。
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