2020 Fiscal Year Research-status Report
回復期脳卒中患者の病棟生活21時間の移乗を支える生活者目線の看護支援モデルの開発
Project/Area Number |
19K10855
|
Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
高柳 智子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (90313759)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 回復期リハビリテーション病棟 / 車椅子移乗 / 転倒 / 脳卒中患者 / リハビリテーション看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
車椅子移乗時に転倒した回復期脳卒中患者の移乗自立続行の可否を判断する際に看護師が重要視する視点と影響要因を明らかにすることを目的に、回復期リハビリテーション病棟でリーダー的役割を担っている看護師857名を対象とした自記式無記名質問紙調査を行った。 調査項目は、対象の看護経験年数、勤務病棟の背景(病床数、療法士の病棟ケアへの参加)、転倒後の移乗自立続行の可否判断に抱く困難感(7件法)と判断視点の重要度(10項目 7件法)、患者安全のための看護実践自己評価尺度 病棟看護師用(三浦ら,2010)とした。分析方法は、転倒後の移乗自立続行の可否の判断視点の重要度について探索的因子分析を実施し、他項目とともに共分散構造分析を行った。 その結果、359名(回収率41.9%)から質問紙の返送があり、記入漏れや同意書欄にチェックがないものを除く319名(有効回答率37.2%)を分析対象とした。転倒後の移乗自立続行の可否において重要視する判断視点は、探索的因子分析(最尤法 プロマックス回転)にて2因子8項目を採択し、〈安全な移乗動作の定着〉〈再転倒予防につながる学習体験としての転倒〉と命名した。次いで、この2因子8項目と影響しうる変数のパス図を作成し、適合度からモデルを改良した。転倒後の移乗自立続行の可否において重要視する判断視点に影響を与えていた項目は、患者安全のための看護実践自己評価尺度 病棟看護師用の得点のみであった(β=0.43,p<0.001)。 以上より、本研究で得られた車椅子移乗時に転倒した回復期脳卒中患者の移乗自立続行の可否を判断する際に看護師が重要視する視点は、患者の安全保証に必要な看護師の行動の質の影響を受けており、移乗時に転倒した回復期脳卒中患者が安全な移乗自立に向かうことに寄与しうる判断視点であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は、前年度に実施できなかった回復期リハビリテーション病棟でのフィールド調査とともに、今年度実施予定の回復期リハビリテーション病棟看護師を対象とした質問紙調査の2つを計画していた。しかし、前者は新型コロナウィルス感染症拡大の影響によりフィールドの協力が得られなかった。また、後者においても新型コロナウィルス感染症拡大に伴う医療現場の負担を鑑み、調査時期を半年延期した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症による影響により、回復期リハビリテーション病棟でのフィールド調査は現段階においても難しい状況が続いている。そのため、患者の病棟での活動状況の測定調査ではなく、他のデータ方法を用いて解明できるよう検討し実施していく。
|
Causes of Carryover |
患者の回復期リハビリテーション病棟での活動状況調査が実施できなかったため、その分の経費を使用しなかった。令和3年度も新型コロナウィルス感染症による影響が続き、フィールド調査が難しいと考えられるため、実施可能なデータ収集方法を検討し実施していく。
|