2019 Fiscal Year Research-status Report
神経難病看護師による症状看護の促進に向けた新たなリフレクションプログラムの構築
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19K10866
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| Research Institution | Setsunan University |
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Principal Investigator |
森谷 利香 摂南大学, 看護学部, 教授 (20549381)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 裕子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40263272)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 神経難病看護 / 症状緩和 / 看護師 / リフレクション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①神経難病看護師の症状看護における暗黙知を明らかにする、②神経難病看護師の感情体験・管理について明らかにする、③神経難病看護師の症状看護を促進する新たなリフレクションプログラムを再構築し、暗黙知の共有、感情管理、患者理解の促進、主体的な振り返りの状況の視点で評価する。本研究は 「神経難病患者の痛みの看護を促進するための神経内科看護師への支援プログラムの開発(16K12046)」から継続して取り組んでいる。2019年度は、神経難病看護師に対するリフレクションプログラムのパイロットスタディを行った。結果、自らの看護実践体験の振り返りでは、患者の理解の深まりや、患者に合わせたケア等の看護の重要性を再認識していた。また自分の看護の在り方を振り返る機会でもあった。グループ検討では、看護実践への内省に加え、自分の感情や看護の傾向を見直す機会となっていた。さらに他者と共有することで新たな視点を得るとともに、参加者に同様の悩みがあることに気づいていた。以上より本プログラムは知覚異常の看護にとどまらず、神経難病患者への看護の質向上への一助となる可能性が示唆された。しかし、本プログラムが意図する感情体験や感情管理、暗黙知に関するデータが見出すことが困難であり、現状のプログラムの課題が明らかになった。
また本テーマに関して2019年度日本看護科学学会学術集会において交流集会を持ち、看護系の研究者や教員20名ほどの参加があった。感想として、事例を丁寧に振り返る環境づくりや、神経難病看護から看護そのものへの面白さを認識したなどがあり、本研究への興味関心がうかがえると共に、リフレクションの手法を用いることの方向性が妥当であるこという示唆を得た。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、神経難病看護師に対するリフレクションプログラムのパイロットスタディとして、プログラムは自らの看護実践体験を振り返り、グループ検討に参加し、これらに基づいた看護実践を行い、更に振り返るというサイクルを1か月ごとに計3回行った。すべてのプロセスでリフレクションノートに記載した。参加者は施設の異なる経験3～5年の神経難病看護師である。プログラムを通して使用したリフレクションノートは過去の研究を参考として、経験の想起・描写：①具体的経験、②①の内省（患者の状況、自分の思考・行動）、③抽象化（②からの学び、意味づけ、気づき）、④能動的実験（次の実践にどのように取り入れるか）で構成した。グループ検討では、リフレクションノートの内容に基づき、自由に討議した後アクションプランを立て、次の実践に臨むという一連の流れとし、研究者はファシリテーターとして参加した。
参加者の気づきとして《患者理解における気づき》《自分の看護実践についての振り返りにおける気づき》《看護師としての自分の内面への気づき》《振り返りの機会としての気づき》《他者と共有することの意義》があった。プログラムによって患者への理解や看護実践への内省が深まった。さらに、看護師としての自分を見つめ直す機会ともなり、知覚異常にとどまらず、神経難病患者への看護の質向上への一助となる可能性が示唆された。一方で、参加者から具体的な感情管理に関する内容や、神経難病看護についての暗黙知についてのデータは十分に得られなかった。さらに、看護経験やキャリアによって、これらに違いがある可能性があり、今後の研究計画立案の際には懸案事項となる。
2019年度～2020年度は、神経難病看護師の症状看護を促進する新たなリフレクションプログラム再構築のための準備を行う予定であり、取り組みを継続する。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度は、神経難病看護師の症状看護を促進する新たなリフレクションプログラム再構築のための準備を進める。2019年度に実施した神経難病看護師に対してリフレクションプログラムのパイロットスタディから見えた課題から、当初の予定通り、1）神経難病看護師の暗黙知に関する研究、2）神経難病看護師の感情体験・管理に関する研究について取り組む。まず1）神経難病看護師の暗黙知に関する研究については、過去に報告がない。暗黙知とは、看護師個人や一部の看護組織では保有・活用しているが、言語化が困難、またはされていないために体験的にしか伝授・共有ができず、場や関わる人の構成という状況に依存して成り立っている知識である。暗黙知については、看護研究の論文のみではく経営学等の他の学問分野でも着目されている概念であり、組織での伝承プロセスが課題となっている。これらの論文を参考にしながら、神経難病看護の暗黙知について検討し、神経難病看護の実際を明らかにするとともに暗黙知を形式知に変換の可能性を模索する。併せて暗黙知を他者に伝える方法を検討していくことで、看護の質向上について具体的に提案できると考える。次に2）神経難病看護師の感情体験・管理に関する研究については、神経難病看護師のバーンアウト得点は、他の診療科部署の看護師よりも高いことや、一般看護師用のストレッサー尺度では、神経難病看護師のストレッサーを捉えきれていないことが報告されてきている。ただし、神経難病看護の経験によって参加者の感情管理の様相は異なることが予想される。同時に熟練看護師では、新人や中堅看護師に対する感情管理の指導も考えられる。これらを考慮し、看護師のキャリア別に研究計画を検討する。
最後に今年度はCOVID-19の感染拡大の懸念があるため、主にオンラインで研究を進め、対象者の状況によっては文献中心に検討することもある。
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| Causes of Carryover |
データ収集に関する国内移動が少なく、学会も近隣活動ができたため、国内旅費が想定よりも少なかった。
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