2019 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるクリティカルケア看護師のモラルディストレス尺度の開発
Project/Area Number |
19K10890
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
松田 麗子 中部大学, 看護実習センター, 助教 (30552559)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 惠子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (20231805)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | クリティカルケア看護師 / モラルディストレス / Moral Distress / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国において適用可能かつクリティカルケア看護師に特化したモラルディストレスの測定尺度(JCN-MDS)を開発し、その信頼性、妥当性を検証することを目的としている。この目的を達成するために、①JCN-MDSの内容妥当性の確認と検討、②JCN-MDS原案の決定と質問紙調査の実施および評価、の2点より研究を計画している。今年度は、①のJCN-MDSの質問項目の特定を目指し、先行文献を参考に日本におけるクリティカルケア看護師のモラルディストレスの実態の解明を行った。 1.国内外の先行研究により、モラルディストレス研究の動向を概観した。 2.国内のクリティカルケア看護師のモラルディストレスの概念モデルを作成するため、わが国におけるクリティカルケア看護師のモラルディストレスの様相をメタ統合(Patersonらに準拠)により明らかにした。対象となった文献は8文献であった。倫理的な状況において、クリティカルケア看護師が適切だと考える行動は、患者の生命維持と患者・家族の意思を尊重すること、看護の質の向上へ努力をすることなどであった。適切だと考える行動を妨げる制約は、患者の尊厳よりも救命処置が優先される状況や危機的状況にある患者の家族への支援の難しさ、看護師自身の不確かな倫理的判断や感情移入、患者・家族への医療者の態度やその調整、人員配置や業務量のアンバランスなどであった。クリティカルケア看護師は、適切だと考える行動が妨げられることによって、戸惑い、葛藤、後ろめたさ、などの心理的苦痛を感じていた。 これらの結果を検討し、クリティカルケア看護師のモラルディストレスの様相を図示した。 3.2.の結果とモラルディストレスの既存尺度の項目内容を比較検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画調書における2019年度の計画では、1.MDS(Corley, 2005)を翻訳し質問項目の検証、2.クリティカルケア看護師へのインタビューの実施と新たな質問項目の特定、3.JCN-MDSの質問項目の検討と質問表の作成を予定していた。 現時点では、2.クリティカルケア看護師へのインタビューを実施するための倫理審査の準備を行っているため、計画よりやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究結果を、日本クリティカルケア看護学会へ発表する。また、倫理審査の承認をもってクリティカルケア看護師へのインタビューを実施する。クリティカルケア看護師のモラルディストレスの体験をインタビューにより明らかにし、質問項目の特定、および質問票の作成をする。 次に、②JCN-MDS原案の決定を目指し、クリティカルケア看護師のグループインタビューにより質問票の意味内容の確認とともに、さらなるモラルディストレスの体験の抽出を行う。
|
Causes of Carryover |
(理由) 現在の進捗状況は、やや遅れており質的研究のインタビューデータの録音機器の料金や入力委託料金が未執行となった。 (使用計画) 2020年度は、質的研究を実施する際の経費、インタビューデータの入力委託料金や、質的研究解析用のソフトを購入する予定である。
|
Research Products
(1 results)