2019 Fiscal Year Research-status Report
軽症脳卒中患者の再発予防へのセルフマネジメント自己評価尺度の開発および介入
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19K10895
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
内田 香里 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 助教 (70779529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 きよ子 順天堂大学, 医療看護学部, 特任教授 (50212361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軽症脳卒中 / セルフマネジメント / 自己評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、軽症の脳卒中患者を対象に、再発予防に向けてセルフマネジメントを自己評価する尺度の開発と、この尺度を用いたセルフマネジメント介入の有効性の検証を目的としている。2019年度は軽症脳卒中患者のセルフマネジメントを測定する自己評価尺度原案を作成し、尺度原案の信頼性・妥当性及び活用可能性の検討を行った。 尺度原案作成の先行研究として、インタビュー調査により軽症脳卒中患者のセルフマネジメントの実態を明らかにし、概念化した。その結果を基に尺度原案37項目を作成し、内容的・表面的妥当性を検討した後、研究協力が得られた17施設に通院する軽症の脳卒中患者137名を対象に質問紙調査を行った。得られた回答のうち70名を分析対象とし、構成概念妥当性として探索的・確証的因子分析を行った。その結果、<脳卒中悪化予防への思索>、<資源の活用と医療者との協働>、<後遺症と心理的安寧を保つための行動>、<自己の生活に合わせたセルフマネジメントの実施>の4因子18項目で構成され、開発初期段階における一定の構成概念妥当性は示せた。基準関連妥当性は、基準尺度との間に中等度の相関が見られ支持された。内的整合性を示すCronbachのα係数は、各因子共に0.8前後の値を示し、質問項目の信頼性を確保できた。 試作尺度の活用可能性の検討では、慢性疾患の患者のセルフマネジメントに影響する要因を用いて弁別力があるかを比較検討した結果、罹病期間が長い者、薬物療法を受けている者、高血圧がある者の方がセルフマネジメントを実施する傾向にあり、これらの疾患に対する脆弱性の認知を起因とするもの、および、補助具を使用している者や心理的支援があると答えた者に対する弁別力がみられた。本尺度は、軽症脳卒中患者が疾患による脆弱性やすでに実施しているセルフマネジメントに気づき、さらに生活に則した洗練に活用できるツールになり得ると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の予定通り、先行研究であるインタビュー調査の結果を基に、質問項目の作成、パイロットテスト、質問紙調査を行った。分析の結果、試作尺度の信頼性と妥当性が確保された。さらに、本尺度の活用可能性の検討を行い、弁別力のある尺度であることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本尺度は、開発初期段階における一定の構成概念妥当性は示せたが、研究の限界として地域に偏りがあることや、サンプル数が少なかったことによる妥当性の検討が十分でないことが課題としてあげられる。今後は対象地域を拡大し、さらにサンプル数を増やして尺度の洗練を行う必要がある。2020年度は追加の質問紙調査を行うと共に、本尺度を活用したセルフマネジメント介入に向けて準備を進めていく。介入方法・評価方法の見直しを行い、対象者が通院する施設の責任者に対して研究の依頼を行っていく。2021年度は、研究対象者への介入および評価を行い、本尺度の有効性を検証していく。
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Causes of Carryover |
物品費として、2019年度にパーソナルコンピューターおよび統計ソフトを購入予定であったが、職場で保有する物が借用可能であったため、購入を見送った。今後、追加の調査を行った際、必要に応じて購入を検討する。その他の2020年度の使用計画としては、2019年度で得られた知見を国内外の学会にて発表する際の旅費や論文投稿を主に使用予定である。
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