2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K10909
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
武居 明美 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 助教 (70431715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 しのぶ 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 教授 (20389753)
赤堀 八重子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (30700124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん看護 / がん予防 / 就労女性 / 行動促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、就労女性のがん予防行動に関わる因子を明らかにし、がん予防行動を促進する包括的プログラムの作成と検証をすることである。 初年度となる今年度は研究の第一段階であり、①就労女性への調査、②就労女性の健康を支える専門職への調査を柱としている。まず、就労女性、専門職にインタビュー調査を行い、その後、就労女性へ質問紙による調査を行う。そしてがん予防行動に関連する知識・がん予防行動への影響要因・労働環境等を踏まえ、がん予防行動に関わる因子を明らかにし、第2段階へつなげる。 具体的には、倫理審査申請と許可、国内外の文献検討、就労女性へのインタビュー調査、就労女性の健康を支える専門職へのインタビュー調査、就労女性への質問紙調査を予定した。 研究に関する倫理審査申請と許可を経た後、就労女性を対象とした調査を実施した。最終的には14名の就労女性にインタビューを行い、質的記述的手法により分析を行った。その結果、《検診を受けたきっかけ》としては、<早期発見したい>、<身近な人のがん罹患>、<子のために自分の健康が大事>、<就職>、<同僚の後押し>などが、《がん検診受診の抵抗感の軽減》要因としては、<みんなが受けている>、<妊娠・出産による検診のイメージの変化>、<同性の医療従事者>、<検査時の医療従事者の声がけ>などが明らかになった。これらのことから、就労女性の予防行動には、ライフスタイルや知識のみならず職場の風土も大きく関係していることが示唆された。これらの研究成果については、学会にて発表済みである。また、学会誌投稿準備を進めている段階である。 就労女性には、職場環境、特に人的環境ががん予防行動に大きく影響することが確認されたことから、「就労女性の健康を支える専門職」のみならず、「社員全員」で取り組むことが強い推進力になることが予測され、第2段階への大きな弾みとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の後半に、就労女性の健康を支える専門職を対象とした調査を予定していた。具体的には、産業保健師・看護師、行政保健師・看護師、健診(検診)機関に従事する保健師・看護師、産業医等へのインタビュー調査である。しかしこれらの方々は、新型コロナウイルス感染症対策の最前線にあたる職種であり、その激務は研究者の想像を上回るものであった。産業保健師・看護師においては、海外に支店・工場を持つ企業もあり、パンデミックが生じ、それらの対応にも時間を割かれていた。研究説明に伺うための日程調整すら困難な状況であり、その段階でデータ収集を推し進めることが今後の研究協力等にマイナスに働くことが予測された。 更に、緊急事態宣言に伴う活動自粛(感染拡大予防)の影響もあり、データ収集が滞っている状況である。 感染拡大に落ち着きを取り戻しつつあり、5月下旬には緊急事態宣言が解除されたことから、段階的に社会経済活動のレベルが引き上げられていくことが予測される。今後は、社会状況を考慮しながら感染予防に留意し、研究を推進することが可能であると考える。また、感染流行の第2波に備え、確実に、そして的確な情報収集が行える手法について検討することも視野に入れながら研究推進を図ることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
5月下旬に緊急事態宣言が解除され、段階的に社会経済活動の広がりが期待できることから、研究を推進することが可能であると考える。 現在はやや遅れている状況であるが、計画通りに研究を推進するために、①研究協力者であった1名を研究分担者へ変更し、より深く研究推進に関わっていただく、②質的データの逐語録作成等、外部委託できる内容は可能な範囲内で委託し、研究者はデータ収集や分析等に注力する、③感染流行の第2波に備え、確実に、そして的確な情報収集が行えるように研究データ収集方法や収集の時期等について再検討を行う、等の方策により研究を推進する。 ③については、研究対象施設を増やす方向で倫理審査の申請を進めている。研究分担者が1名増員されることから、同時に複数のデータ収集が可能になるため、データ収集期間を短縮することができると考えられる。 これらのことから、予定通りに研究を推進することが可能であると考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言発令に伴い、研究がやや遅れた状況にある。 従来の計画では、①就労女性へのインタビュー調査、②就労女性の健康を支える専門職(産業保健師・看護師、行政保健師・看護師、健診・検診機関に従事する保健師・看護師、産業医等)を対象としたインタビュー調査、③就労女性を対象とした質問紙調査を行う予定であった。しかし、②就労女性の健康を支える専門職へのインタビュー調査を実施する前に新型コロナウイルスの感染拡大が生じ、研究が滞っている状況にある。予定していた学会参加の見合わせ等もあり、予定よりも支出が抑えられている。 また研究計画として、インタビュー調査後に質問紙調査を行う予定である。その調査や分析に関して支出が生じる予定であったが、この段階に進めていないことから、予定していた支出が生じていない。特に分析に用いるソフト等はその年度で入手可能な最新のVerを購入することを希望するため、購入を見合わせている状況である。このようなことから、次年度使用額が生じている。 今後の研究の推進方策として、研究分担者の追加や感染流行の第2波に備えたデータ収集方法、データ収集時期の検討等を実施予定である。研究の推進に伴い、研究分担者への分担金、購入を見合わせていたものの購入、次年度に計画している内容等により支出が生じる予定である。
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