2022 Fiscal Year Research-status Report
看護師の患者への「巻き込まれ」を中核とするスピリチュアルケアリング・モデルの開発
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19K10924
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
比嘉 勇人 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (70267871)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピリチュアリティ / スピリチュアル / ケアリング / 傾倒 / 援助的コミュニケーション / 困難事例 / 対処行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「巻き込まれ(傾倒-援助的コミュニケーション)」を中核とするスピリチュアルケアリング・モデルを構築することである。構築されたスピリチュアルケアリング・モデルの妥当性の検証を経て、スピリチュアルケアの<先行要件>→<巻き込まれ(傾倒-援助的コミュニケーション)>→<帰結>を明らかにすることで、スピリチュアルケア分野の学術的・臨床的発展に寄与することができる。 【2022年度】研究4年目は、昨年度に続き、看護における「巻き込まれ(傾倒-援助的コミュニケーション)」の要素の抽出するために、困難事例への対処行為について理論記述化を段階的に試みた。 第一段階は、地域統括相談支援センターを設置している府県と判断した全14府県の地域統括相談支援センターに所属する相談員38名を対象に質問紙調査を実施し、18名の有効回答(困難事例18事例とその対処内容の記述)を得た。 第二段階は、第一段階で回答した18名を対象に面接調査の参加協力を依頼し、8名の同意を得てZoom面接(困難事例とその対処内容についての半構造化面接)を実施した。その結果については質的記述的に分析し、その結果を整理して参加協力者にフィードバックする予定である。 また、傾倒以外で援助的コミュニケーションスキル(TCS)に影響を及ぼす要因を明らかにするために、看護学生100名に実施した半構造化面接の結果からは、以下の6要因が示唆された。「患者に関心を向ける;返答を予測する」などで構成された【心がまえ】、「患者を否定しない;控えめに関わる」などで構成された【心がけ】、「患者の心境・対人交流の特徴」などで構成された【患者の状態】、「教員からの助言;授業等での学び」などで構成された【手がかり】、「患者からの影響;患者との関係性」などで構成された【双方向の関係】、「学生の知識不足・効力感減退」などで構成された【阻害要素】。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に実施した面接調査(参加協力者3名)の結論が不十分であったため、論文としての掲載には至らなかった。そのため、2022年度に参加協力者を8名追加して分析を練り直した。その結果については、再投稿中である。 また、看護学生を対象とした質的記述研究を並行して行っているが、結論には至っておらず未公表である。 以上の理由により、本研究課題の進捗状況については「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
【2023年度】研究5年目 進行中の「地域統括相談支援センターに所属する相談員を対象とした困難事例への対処行為(仮称)」および「看護学生を対象とした傾倒-援助的コミュニケーション要素の抽出(仮称)」をまとめ公表する。 公表した研究を、混合研究的な観点から統合あるいは分析的帰納的にデータを追加し、スピリチュアルケアリングの仮説モデルを作成する。
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点から病院への研究協力(面接型調査)を縮小したため、学会発表および誌上掲載等が未達成となった。その結果、残高(合計799,382円)が生じた。 その残高(合計799,382円)については、感染者数の状況を考慮しながら、次年度の面接データの収集・文字起こし依頼・分析・学会参加・発表等に要する費用に加算し使用する。
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