2019 Fiscal Year Research-status Report
精神科患者の生活習慣病予防・改善を目的としたタイプ別食生活指導プログラムの構築
Project/Area Number |
19K10934
|
Research Institution | Koriyama Women's University |
Principal Investigator |
岡部 聡子 郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (10551129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 あや 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00347212)
本間 杏菜 郡山女子大学, 家政学部, 助手 (10817985)
根本 絢香 郡山女子大学, 家政学部, 助手 (10839195)
伊藤 慎也 北里大学, 看護学部, 講師 (30736707)
高橋 徹 郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (80324292)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 摂食尺度 / ヘルスリテラシー / 栄養指導 / リーフレット / 精神科 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)患者のタイプの分類のための心理的摂食尺度の作成 一般成人を対象として作成された心理的摂食尺度であるThe Dutch Eating Behavior Questionnaire(DEBQ)の日本語版が、精神科患者に応用できるのかを分析した。下位尺度には①抑制的摂食(太らないために食べない)、②情動的摂食(イライラや不安から食べたくなる)、③外発的摂食(おいしそうな食べ物を食べたくなる)がある。患者と一般成人の結果を因子分析したところ、一般成人はオリジナル尺度の因子配列と同様の結果であったが、患者では情動的摂食と外発的摂食の項目が交じり合う結果となった。精神科患者は外からの食の刺激に反応する傾向と気分により食べたくなる傾向が連動する。また、情動の中で、抑うつは別に意識される傾向があり、既存の摂食尺度であるDEBQをタイプ別に分ける心理指標に使えないことが分かった。(2019年12月7日福島県栄養改善学会にて口頭発表)。 2)タイプ別の食生活指導プログラムの構築 タイプ別食生活指導プログラムの作成に先立ち、栄養指導ツールの作成に取り組んだ。2つの研究を実施した。研究1は既存の栄養指導等に使用するリーフレットをヘルスリテラシーの視点から患者にとってわかりやすい資料かどうかを評価した。リーフレット27部をリテラシー評価指標であるCCI(効果的なコミュニケーション指標 )、日本語版SAM(資料の分かりやすさの指標)を用いて評価した。その結果、得点の高いリーフレットの特徴は①簡潔に要点を表現する、②重要なポイントに図・表などの視覚資料が用いることが分かった(2019年9月7日東北家政学会にて口頭発表)。研究2は、患者に栄養教育を実施する管理栄養士(福島県精神科栄養士協議会)を対象に、栄養指導に関する意識調査を行った。その結果、栄養士自身が勉強し相手を理解することで患者からのフィードバックを肯定的に受け止める傾向が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)タイプ別分類のための心理的摂食尺度の作成 既存の摂食尺度により、一般成人と患者では摂食に関する心理的な反応が異なることが明らかになった。患者の特性の一端を評価することができたため、概ね順調と考えた。 2)タイプ別の食生活指導プログラムの構築 精神科栄養士協議会の協力を得て、タイプ別の食生活指導プログラム構築に向けたアンケート調査を行った。精神科栄養士協議会からの意見を加味して、栄養指導する側の要望を抽出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)タイプ別分類のための心理的摂食尺度の作成と信頼性 既存の日本語版DEBQは回答時に用語の意味が難しいとの意見があった。管理栄養士3名が中心となりDEBQの質問文を改訂し、精神科患者当事者をはじめコメディカルスタッフによる質問文の文言の評価を3回繰り返し、改訂版を作成した。2020年度は新たな日本語版DEBQで調査し、因子分析を実施する。 2)タイプ別の食生活指導プログラムの構築 タイプ別食生活指導プログラムの構築には、患者のタイプ別に対応できる実践的な栄養指導ツールづくりと指導方法のワークショップを組み合わせることが必要である。2020年度は実践的な栄養指導ツールづくりと栄養指導方法について精神科栄養士協議会と協同して行う。栄養教育で用いられる行動科学理論とヘルスリテラシーの視点を盛り込んだ指導法の構築を目指す。2020年度の診療報酬改定により、外来栄養指導に情報通信機器を使用する場合も指導料を算定できることとなった。このことより、管理栄養士が資料として映像教材を患者のスマートホンに送り、指導は電話で行うといった指導法も可能となる。2020年度は精神科栄養士協議会加盟の管理栄養士を対象に、インターネット上の情報の活用状況等についての要望を聴取し、実践的な栄養指導ツールの作成と指導方法を構築する。これは、新型コロナウイルス感染症蔓延の状況でのニーズに合った方針と考える。今後は、精神科栄養士協議会でのワークショップなどもオンライン含め工夫した運営方法を取り入れて計画していきたい。
|
Causes of Carryover |
初年度の活動では、ほぼ予定通りの予算執行になった。一部、共同研究者で学会発表等の旅費や物品費の使用が予定額に満たなかったが、次年度以降に持ち越し、今後の研究発表に使用していく予定である。
|