2022 Fiscal Year Research-status Report
エンドオブライフ期慢性疾患患者の体験理解に基づく生き方支援看護実践指針の開発
Project/Area Number |
19K10941
|
Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
谷本 真理子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (70279834)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 慢性病 / エンドオブライフ / 体験理解 / 質的研究 / 軌跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、昨年度に引き続き、文献検討を実施した。 エンドオブライフの軌跡・経過における慢性病者の体験と体験を引き起こすきっかけについて、文献レビューを行った。Lunney(2003)らの終末に至る軌跡の公表時期を鑑み, CINAHL,MEDLINEをデータベースに2000~2021年に公表された英語論文からスクリーニングされた31件を分析対象とした。これらの研究で採用されたアプローチは、横断的・縦断的デザインによる面接調査, 対象者は,家族や医療者も含むものがあり, 特に,患者の内的世界に対しイーミックな立場をとるものとして看護職者のデータを含むものがあった。慢性病者の体験には「多様な症状と成り行きの感覚」「病状進行と自律性喪失への恐れ」「喪失や変化に対する努力、適応」「過去の生活に対する自責」「相対的幸福感・尊厳の回復」「病と病状管理の不確実さ」「周囲からの孤立」「生きる意味の模索」「受療や介護の負担」「ケアを受けることの模索」「鋭く遠く近づく死の認識」が明らかにされていた。これらの体験を引き起こすきっかけ(Triggers)には「負担の強い症状の出現」「病状の変化(悪化と回復)」「治療の変更・限界」「生活環境の変化」「人間関係の希薄化」「満たされていない医療・ケア」「病状の認識・理解」「通底する信念・価値観」があった。これら抽出された体験は、同定しにくいエンドオブライフ期慢性疾患患者のケアの必要性を専門職が意識するために有益な視点となりえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
度重なるCOVID-19 の蔓延により、研究者の教育・管理業務増大、学会関連担当業務などへの対応に追われ、研究時間の確保が困難となった。 COVID-19への対応による臨床看護師の行動制限や業務量増大も考慮する必要があると考えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
①エンドオブライフ期慢性疾患患者の特徴の整理 昨年度の文献レビューの結果等を統合し、エンドオブライフ期の慢性疾患患者の特徴を整理する。 ②看護実践指標と指針の開発 先行研究から導かれたエンドオブライフ期慢性疾患患者の生きる意味を支えるケアの指標について、臨床看護師を対象に日々の看護実践を通した検証を依頼し、インタビューを行う。
|
Causes of Carryover |
COVID-19 の収束がみられず、研究補助者の入校が制限された状況が続き、雇用の見通しが得られなかった。加えて、研究代表者の教育業務および雑務の多忙によりデータ収集を伴う研究活動を開始できなかったことが、次年度使用額が生じている理由である。 次年度は、臨床看護師向け説明ツールの作成費用、インタビュー謝金、研究補助者謝金、ならびに内容分析委託費用、論文投稿費用、情報収集(図書・文献収集等)のための費用を主に支出する。
|
Remarks |
看護の視点で支える慢性疾患患者のエンドオブライフ http://www.eee-care.com/
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
-
[Book] セルフケア支援2022
Author(s)
黒田 久美子、清水 安子、内海 香子
Total Pages
278
Publisher
中央法規出版
ISBN
978-4-8058-8432-4