2019 Fiscal Year Research-status Report
HBOCプレバイバーが認知する不確かさの特徴と看護支援
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19K10949
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Research Institution | Miyazaki Prefectual Nursing University |
Principal Investigator |
矢野 朋実 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (90363580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性乳癌卵巣癌 / 健康管理 / 看護支援 / 不確かさ / プレバイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC:BRCA1-and BRCA2 Associated Hreditary Breast and Ovarian Cancer。以下、HBOC)と診断され、関連がんを未発症の者(以下、プレバイバーprevivor)が、必要な健康管理を継続し、QOLを維持・向上できるようにするために、彼らのもつ不確かさのマネジメントを促進する看護援助モデルを構築することを目的としている。 2019年度は国内のHBOCの診断/診療のプロセスの整理、国内外の看護研究論文の探索を行った。今年度は以下のことが明らかになった。 HBOCと診断される者の背景は、HBOCを疑って受検した者もいれば、二次的所見として予想外にわかる者がいたり、がん既発症者もいれば未発症者もおり、既発症者の病期も様々で、看護支援を検討するには一からげにできない状況にある。BRCA1/2遺伝学的検査の保険適用によりHBOCと診断される者が今後増加し、リスク低減手術の保険適用で健康管理の選択肢のハードルが低くなることにより意思決定に困難をきたす者がこれまで以上に増える可能性がある。パネル検査受検で、検査結果判明後の影響を熟慮しないままHBOCであることがわかりその後の健康管理や家系内の情報共有に困難をきたす可能性がある。 国内でHBOCの者を対象としたものは現象を明らかにするもの2編のみだった。海外でHBOCを主題としたものは58編あり、うち3割は支援方法の開発を目的としたものであった。健康管理に関する意思決定支援を主題としたものが最も多く、次いでプレバイバーの認識、看護師の認識向上のための教育、family communicationを促進する看護支援に関するもの等だった。 HBOCと診断される者が増える中で、看護領域において現象を明らかにし支援方法を開発していくことは急務である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年に第3期がん対策推進基本計画が示されてから、がんゲノム医療は日進月歩で急速に進化しており、HBOCと診断される者の背景が多岐に渡ってきている。国内の看護領域ではHBOCと診断された方についてまだ現象もほとんど明らかになっておらず、プレバイバーに限定して着目するにはリクルート面でも容易でないことが予想され、対象を再検討する必要があると考え、医療の現状に合わせて、実現可能な方法を再検討したため、当初の計画通りには進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
HBOCと診断された者が必要な健康管理(ヘルスマネジメント)を継続して行えるような看護支援策を構築していくことが最大の目的であることから、まずは現象を把握するために、HBOCと診断された者のヘルスマネジメントの様相を明らかにする必要がある。その中で、ヘルスマネジメントに影響を与える因子の一つとして不確かさに言及していく。2020年度は研究計画書を作成し、倫理委員会の承認を得る。2021年度はデータ収集、分析、公表を行う計画とする。
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Causes of Carryover |
2019年度に所属機関が変わり当初計上していた鍵付きキャビネットが不要であったこと、パソコンが当初計上していた金額より安価で入手できたこと、計画がやや遅れているため消耗品等を予定ほど使用しなかったこと、新型コロナウイルス感染予防対策で年度末の県外出張を自粛したこと等で次年度使用額が生じた。2020年度以降の研究計画で質問紙調査からインタビュー調査になることが考えられ、次年度使用額は調査に必要な旅費に充当していく。
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