2021 Fiscal Year Annual Research Report
HBOCプレバイバーが認知する不確かさの特徴と看護支援
Project/Area Number |
19K10949
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Research Institution | Miyazaki Prefectual Nursing University |
Principal Investigator |
矢野 朋実 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (90363580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HBOC / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、BRCA遺伝子に病的バリアントを有する関連がん未発症者である遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)プレバイバーが認知する不確かさの特徴を明らかにすることを目的とする。 初年度は文献レビューならびに研究実施計画書を作成した。 2年目は文献レビューの結果を論文化した。プレバイバーの不確かさの理解の前提として、彼らに求められるリスクマネジメントの様相の理解が必要であり、国外看護研究論文を対象に、HBOCのリスクマネジメントにおける意思決定の様相を明らかにした。親族のがんの体験ががん罹患に対する強い恐れとして意思決定プロセス全般に影響を及ぼしていた。個人的要因と状況的要因とが相互に複雑に作用して意思決定に至ること、時間の経過と共に異なる長所と短所を比較検討し個々の要因と好みに基づいて意思決定がなされることが明らかになった。2年目当初よりCOVID-19感染が拡大した。国内の社会生活基盤が不安定な状況となり、データ収集を見合わせ終息を待った。 最終年度は、不確かさの概念理解に立ち返り、初年度に作成した実施計画を再考した。不確かさを認知する過程、それを評価する過程では社会的支援、医療提供者の影響は大きい。コロナ禍で検診を含む不急の診療や人的交流が制限される中、不確かさへの影響は大きく、平時におけるHBOCプレバイバーが認知する不確かさの特徴を明らかにすることは、今なお終息しない状況において今回の研究期間では難しいと判断した。今後国内でHBOCプレバイバーが増加することは必至である。不確かさは、出来事に対する統制感を低下させ危険感を高め、学んだ機知のレベルを弱める。がんの易罹患という遺伝情報をもったプレバイバーとしての適応を促進する看護を不確かさを切り口に検討することはQOL向上のために重要で、withコロナ社会における医療提供体制、生活の安定化を見計らって追究する必要がある。
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