2019 Fiscal Year Research-status Report
小児を対象とする看護師への看護倫理教育プログラムの開発
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19K10982
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
山下 早苗 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (40382444)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護倫理 / 小児看護 / ファシリテータ育成 / 倫理カンフアレンス |
Outline of Annual Research Achievements |
倫理的能力【知ること】【見ること】【振り返ること】【行うこと】【あること】を促進するツールの開発として、平成31年度(令和元年度)は以下の取り組みを行った。 研究協力施設である静岡県立こども病院看護部倫理委員会と検討を重ねたところ、臨床現場では倫理的に【見ること】【振り返ること】の機会である倫理カンフアレンス(以下CF)運営に困惑している現状があり、促進ツールとして、ファシリテートできる人材(ファシリテータ)育成が必要であるのではないかと考えた。 そこで、ファシリテートできる人材(ファシリテータ)育成を目的にした勉強会を企画することとし、企画運営においては、効果的な教材開発が必要であり、日常の小児看護実践でよく体験する事例(子どもへのインフォームドアセン)についての模擬CF場面をDVD教材として制作した。さらに、DVD教材を用いたグループワークの企画と、効果的なグループワークを行うに当たって、日本ファシリテーション協会が推奨しているファシリテータスキルを参考に独自のチェック表を作成した。 勉強会参加対象者は静岡県立こども病院看護師27名であり、看護師経験年数は3~31年(平均13.8年)であった。勉強会開催後のアンケート調査では、CFを開催する意義について100%が「よくわかった・わかった」と答え、「CFを行うときに感じていたモヤモヤや難しさを共有できてよかった」「ファシリテーターだけで頑張らなくても、メンバーの力を借りても良いとわかって救われた」などの感想・意見があった。 以上、平成31年度(令和元年度)は、倫理的に【見ること】【振り返ること】の促進ツールとして、ファシリテートできる人材(ファシリテータ)育成が必要であり、定期的な勉強会(CF実施後の振り返りの機会)が必要であると検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度(令和元年度)は、倫理的能力【見ること】【振り返ること】を促進するツールとして、ファシリテートできる人材(ファシリテータ)育成が必要であると検討した。令和2年度は倫理的能力を評価する指標を作成し、令和3年度に評価することが目標である。 研究協力施設である「静岡県立こども病院看護部倫理委員会」とは良好な関係が続いている。現在、新型コロナ感染症拡大の影響があり、検討を行う際は対面でなくメールまたはwebでの検討が必要となるが、検討可能な状況である。 来年度(令和2年度)は、新型コロナウイルス(COVID19)感染症拡大の臨床現場での影響を考慮しつつ、倫理的能力を促進するするツール(ファシリテーター人材育成)の継続的な実施と、倫理的能力を評価する指標を検討することができれば、概ね研究は計画通り遂行できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、研究協力施設(静岡県立こども病院看護部倫理委員会)において、新型コロナウイルス(COVID19)感染症拡大の臨床現場での影響を考慮しつつ、倫理的に【見ること】【振り返ること】を促進するツールであるファシリテーター育成のための勉強会を定期的に行う。令和2年度の勉強会では、臨床現場でCF開催後の振り返り勉強会を企画する。また、小児を対象とする看護師の倫理的能力【知ること】【見ること】【振り返ること】【行うこと】【あること】を評価する指標(評価内容と方法)の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス(COVID19)感染症拡大の影響により、2020年3月他県開催の学会に参加できず、計画的な研究費運用ができなかった。次年度使用額(23,186円)は、研究協力施設に生じる経費(人件費・謝金・旅費等)に運用する計画である。
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