2019 Fiscal Year Research-status Report
発達支援のためのgood practice収集によるナラティブデータベース構築
Project/Area Number |
19K11000
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩飽 仁 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50250808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60333910)
田崎 あゆみ 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (60623931)
相墨 生恵 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00305260)
井上 由紀子 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20596100)
入江 亘 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60757649)
菅原 明子 東北大学, 大学病院, 助手 (30783899)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / good practice |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害を持つ子供と家族の支援のためのgood practice(GP)収集によるナラティブデータベースを構築するために,1.データベース用の試験的サーバ構築と,2.発達障害を持つ子供と家族のインタビュー調査,3.学会で報告された情報の収集を実施した。 1.試験的サーバ構築:データベースに登録する様々な形式の情報を想定して,その形式や項目を検討し,試験的にデータを登録する仮サーバを研究施設内のネットワーク上に限定して構築した(Windows 10/FileMaker Pro)。文献情報などを登録しつつ,柔軟に項目を加除修正することができ,研究者が共通様式でいつでも情報を蓄積できるように設計した。 2.インタビュー調査の実施:障害を持つ子供とその家族が経験的に蓄積している日常生活上のGPを新規に情報化するための調査の第一弾として,通常学級に在籍する(していた)発達障害を持つ子供が学校生活に適応するための工夫について,当事者である子供(6名)とその母親(4名)を対象に半構造化インタビュー調査を実施した。結果は子供の発達障害を専門とする研究者で質的帰納的に分析を行った。この調査は質的情報のデータベース登録方法の検討も意図した。調査は所属機関の倫理委員会の承認を得て行った。 調査の結果,178コード23カテゴリが抽出された。対象者で共通している学校生活に適応するための主な工夫は【生活リズムを決める】【予定を把握する】【学校と情報共有する】【自己管理する】【目標を設定する】【パニック時は避難する】などであった。工夫の契機は【周囲との関係が困難な経験】【不登校】【失敗した経験】【上手くいった経験】【環境の変化】【周囲から適切な支援が受けられない経験】などの母子の経験から構成されていた。 3.学会報告情報の収集:子供と家族を対象にした支援を扱う主な学会の学術集会に参加して最新情報の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度としてデータベース構築のためのハードウェアとソフトウェアの導入を順調に行うことができた。当面の間はこの試験的サーバでデータベース項目の加除修正への柔軟な運用が可能になり,本格的な情報収集とその公開に向けた基盤が概ねできたことになる。 また,子供と家族の支援のためのデータとして多いことが予想される質的デーやについて,実際に調査を行って実質的に新規のGP情報が得られたこと,その情報のデータベース登録のノウハウが検討できたことで,今後のデータ収集とデータベース化の基盤が,ほぼ計画通り構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,1.情報項目の精選,最適化,2.既存のGP情報とevidence関連情報を可能な限り網羅的に検索して収集,3.GPの要約,出典,真実性の確認(データの精選),4.情報ごとのキーワードおよび分類コード抽出と付与,5.データ蓄積を進める。 さらに,試験的に,6.子供と家族,専門職者による投稿,7.ナラティブデータベースとしての公開へと進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,年度後半で計画していた分担者を集めての会議を行わず,オンライン会議で研究打ち合わせを行うことにしたことにより,分担者の旅費が使用されなかったことが主な理由である(特に1月以降はCOVID-19の影響が大きかった)。 今後も基本的に研究打ち合わせはオンライン会議で行うこととしており,次年度使用額は主にオンライン会議の費用(Zoom年間費用,webカメラ,マイク付きスピーカー等)に充てる計画である。
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