2023 Fiscal Year Research-status Report
不妊治療の終結をめぐる夫婦の意思決定支援に有用な看護アセスメントガイドの開発
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19K11008
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
阿部 正子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (10360017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 久枝 園田学園女子大学, 人間健康学部, 教授 (70249457) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不妊治療 / 生殖看護 / 女性 / 保険適用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は不妊治療の保険適用初年度の動向を文献により補足し、昨年実施した看護師への聞き取り内容と照合したうえで生殖看護に求められる役割を考察した。 保険適用初年度の実践報告によると、受診のしやすさから生殖に関する医学的な知識をほとんど持たない若年層(20歳代)の初診患者が急増し、43歳以上が半減するというマクロの患者層のシフトチェンジが起きていた。背景として、経済的負担の軽減のみならず保険が適用されることにより、社会的に不妊が認められたように感じ、「精神的にも治療を受けやすくなった」「周囲の人に話しやすくなった」という声から早い受診の決断に結びついている様子がうかがえた。一方、「年齢制限のため費用が変わらない」いう意見もあり、40歳以上の患者にとっては、保険適用外であることの疎外感への配慮が必要である現状も明らかとなった。 わが国の少子化対策における生殖医療の経済的負担軽減を図る方策の優先度はますます高まることが予測される。こうした流れを受けて生殖看護は、この度の経済的支援を後押しとして治療の機会を得ようとする夫婦やカップルがこれを有効に活かせるように支援する必要がある。今後、新しい有効な検査や治療の技術的妥当性(有効性、安全性、技術的成熟度)が評価され先進医療として承認された場合、40歳代の希望も叶う可能性が高まることから、現在設けられている年齢制限と回数制限の見直しを要望する意見や、今回議論されなかった不育症への支援を求める声も多く、少子化対策として妊娠から出産に至るまでのすべての治療を支援する体制の構築が課題であることが伺えた。 不妊治療は受診前、受診中、受診の終焉の3つの時期がある。それぞれの時期を納得して経過するように支えるためには、不妊からの回復・生殖の補助、苦痛の緩和を行い、生殖の課題の終結とその後の人生をその人らしく生きられるように援助を行うことが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
保険適用後の業務荷重状況を踏まえ、医療機関でのヒアリングを行うことを差し控えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の文献研究から得られた問いとして、生殖看護に携わる看護職者には、生殖における健康の保持増進、不妊症の予防、不妊からの回復・生殖の補助、苦痛の緩和を行い、生殖の課題の終結とその後の人生を、その人らしく生きられるように援助を行う責務があり、それが実際に臨床でどのように認識されているかを調査する必要がある。次年度は、特に治療の終焉に差し掛かる40歳以上の患者(カップル)への看護実践について、研究協力の承諾を得られている施設の看護師を対象に半構成的面接法を用いてデータ収集を行う。データの飽和化を確認しながら、質的帰納的に分析し、看護援助モデル案を作成する。
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Causes of Carryover |
今年度実施予定であった医療施設での調査が実施できていない。次年度は質的調査を実施するため、データ収集施設までの交通費、人件費、謝金等で使用する予定である。
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