神経管閉鎖不全の発生リスク低減のための葉酸サプリメント摂取に関する女性の認識

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K11009
• Research Institution: Ishikawa Prefectural Nursing University
• Principal Investigator: 曽山 小織 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (10405061)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 神経管閉鎖不全 / 葉酸 / サプリメント / 行動変容 / インターコンセプションケア

Outline of Annual Research Achievements

神経管閉鎖不全は妊娠前から女性がバランスよく食事を摂取するとともに、サプリメント等で付加的に葉酸を摂取することで発症リスクが低減すると言われている。葉酸サプリメントは妊娠前からの摂取が推奨されているが、この時期の摂取率は非常に低く、さらに初産婦より経産婦の方が低い。そこで、経産婦について適切な時期に摂取していない関係要因を2019年に調査した。出産後１年６か月の女性287名を分析した結果、葉酸サプリメントの知識がある人の割合は50%未満であり、知識がある人でも妊娠前から摂取していない人がみられていた。経産婦は前回の妊娠や出産で医療関係者と関わっているが、医療関係者から情報を得た人の割合は30%程度と少なかった。また、葉酸情報について、飲む必要性を知りたい人が80%程度、妊婦健康診査時に知りたい人の割合も90%と非常に多かった。摂取開始には遅い時期を希望していることから、産後の女性に対する情報提供に課題があることがわかった。経産婦と同様に医療関係者においても知識があることが情報提供に結びつくとは限らない。また、情報提供を行うとき、医療関係者の経験やサプリメント使用に対する考え方が情報提供に影響すると考えられる。そこで、2020年度は医療関係者を対象に神経管閉鎖障害の予防に関するインターコンセプションケアの認識を調査する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症により産後の入院期間が短縮して退院時の保健相談が従来通りの内容で実施されているかわからなかったこと、医療関係者に対し調査で負担をかけることを避けるため、2020年度は調査を実施しなかった。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2020年度の研究はやや遅れて進行している。2019年度は神経管閉鎖障害の予防のための葉酸サプリメント摂取について出産後1年6か月の女性の知識、認識、今後の妊娠計画と摂取予定の関係等を調査した。2020年度は医療関係者の知識、認識、保健相談を実践する上での課題等を調査予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症により産後の入院期間が短縮して、退院時の保健相談が従来通り実施されているかわからなかった。また、調査で医療関係者に負担をかけることを避けるため調査を実施しなかった。

Strategy for Future Research Activity

2021年度は、医療関係者に対して2020年度に実施予定であった調査を行う。2019年度は出産後1年6か月の女性に葉酸サプリメントの知識、葉酸サプリメント使用に対する抵抗感の有無、及び病気の予防や健康増進に対する考え方等を調査した。医療関係者の葉酸サプリメント使用に対する考え方、及び病気の予防や健康増進の考え方が女性に対する情報提供の内容に関係すると考えられるため、2019年度の出産後1年6か月の女性に実施した調査と同じ内容を医療関係者に調査して両者を比較する。次子妊娠を計画している女性の40%が葉酸サプリメントの相談を希望しているが、相談を希望する時期は、出産後の施設退院頃、または乳幼児健康診査の各時期のいずれも10%未満と極めて低かった。よって、神経管閉鎖障害の予防に関するインターコンセプションケアを医療関係者が実現する上での課題も調査予定である。

Causes of Carryover

2020年度は医療関係者にインターコンセプションケアに関する調査を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染症により産後の入院期間が短縮して、退院時の保健相談が従来通り実施されているかわからなかった。また、調査によって医療関係者に負担をかけることを避けるため調査を実施しなかった。新型コロナウイルスワクチンの接種が始まっており、感染状況が落ち着き始めたら調査を開始予定である。